gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画

映画 shadow 影 / 笑い教 / 水筒少年

2007年。河荑直美/葉子/富永まい監督。たまたま一緒に仕事をしていた人から、小さい頃から離れ離れになっていた実の父親であることを告白される実話。親子とは、互いに自分の影のような存在なんだろうか。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッド…

映画 あん

2015年。河瀬直美監督。樹木希林は、なぜこんなに複雑なのだろう。人の目を惹きつけるのは、そこに何かしらの発見があるからだろう。見ていて、心地よい。それは「汚しうる美」に近いのかもしれない。万物に魂が宿る、というアニミズムの視線を持つ人は…

映画 郵便配達は二度ベルを鳴らす (ルキノ・ヴィスコンティ)

1942年。イタリア。アメリカの郵便配達は二度ベルを鳴らすことが決まりとしてあったらしい。二度目のベルが鳴ったら、必ず出なければならない。悲惨な結末が、運命によって決められている、そんな出会いがある。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グ…

映画 ルートヴィヒ

2012年。ドイツ。芸術で世界を幸せにできる、という確信を持っていた、バイエルンの国王。その芸術が、いわゆる芸術、であると、滑稽に映ってしまうけれど、奇跡的な存在であることには変わりない。バイエルンの現在の観光資源は、彼が築いた建造物であ…

映画 セッション

2014年。デミアン・チャゼル監督。アメリカ。 潰されても、立ち上がる。本当の才能は、そのようにして、日の目を見るようになるのか?潰すことが仕事である、との自覚のもとに、過酷な指導を続ける師。 そのエネルギーが凄まじい。 それを跳ね返そうと、…

映画 火垂るの墓

1988年。高畑 勲監督。 「火垂る」という表記は、「火を垂れさげる」という意味らしい。そのような想像が、ホタルという名前に。人は、死者に対する鎮魂の心を、この虫に託して眺めるのだろう。それは、また、これから生まれ出るものの魂でもある。ぼく…

映画 河童のクゥと夏休み

2007年。日本。陽向と一緒に、昨年夏に観たDVDを、もう一度観た。河童、座敷童、キジムナー、・・・。妖怪は、科学的には証明できないだろうが、個人個人の中で実在するものかもしれない。ぼく自身の中では、実在している。実在といっていいのか・・…

映画 ガスパールとロバンソン

1990年。フランス。トニー・ガトリフ監督。南仏の海辺に、捨てられた者たちが集まって生きる。ブレーメンの音楽隊も、捨てられた動物たちが集まって旅に出る物語だったが、「捨てられる」ことのアドバンテージはあるのか?持たないことの強さはもちろん…

映画 ダリオ・アルジェントのドラキュラ

ダリオ・アルジェントのドラキュラ。2012年。Huluで視聴。ドラキュラ伯爵は城下の町と守護の契約を交わし、ときおり森の獣に姿を変えて、町の人を襲ってその生き血を吸って生きながらえていた。ある日、生きていた遠い昔に失った最愛の妻と同じ容姿をもったミ…

映画 ガッジョディーロ

1997年。トニー・ガトリフ監督。ルーマニアのロマの村をフランス人青年が訪れる。差別を受ける人間たち。喜びや悲しみをストレートに表現する人間たち。音楽や踊りは、そんなところから必然として生まれてくる。彼らの現状はあまりにも不幸と言えるかも…

映画 怒れ!憤れ!ステファン・エセルの遺言

2014年。トニー・ガトリフ監督。ヨーロッパへ北アフリカから難民がやってくる。その人たちがどのような待遇を受けているか、を描いている。こんな映画を見るといつも同じだが、生きるとはなぜこんなにも大変なことなんだろう、と思う。自由になることと…

映画 王妃マルゴ

1994年。フランス。1572年の「サン・バルテルミの虐殺」というカトリックがプロテスタントを大量に殺すという史実が前半に描かれる。フランス王は、次々と暗殺され、交代していく。登場人物たちには、生を全うすることができる者が少ない。歴史を学…

映画 サクリファイス

1986年。スウェーデン。アンドレイ・タルコフスキー監督。 秩序と混沌について、何度も語られる。毎日決まった時間に枯れかかった木に水をやり続けて、3年後にはたくさんの花を咲かせたという話。病気の母のために、がんばって、がんばって、何週間もかけて…

映画 花様年華

2000年。香港。ウォン・カーウァイ監督。1962年の香港が舞台。ジャーナリストのチャウ(トニー・レオン)は妻と共にあるアパートに引っ越してくる。同じ日、隣の部屋にはチャン夫妻が引っ越して来ていた。チャウの妻とチャン夫人(マギー・チャン)の夫…

映画 美しき諍い女

1991年。フランス。残念ながら、4時間を超える長い映画を見続けることができなかった。老画家とヌードモデルの格闘を延々と見る映画のようだ。本物の画家が、画家を演じているため、画面に描かれていく線を見るのは愉しい。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗…

映画 ノスタルジア

1983年。アンドレイ・タルコフスキー監督。詩としての映像というものがあるとすれば、真っ先にこの作品を思い浮かべるかもしれない。「美しい風景は見飽きた。所詮、自己満足にすぎない。」という男の言葉で始まるこの映画は、風景とは内面がつくりだす…

映画 スケアクロウ

1973年。アメリカ。短気で喧嘩っ早いがために、刑務所に6年もいたマックスと、5年前に妻が妊娠したときに、子供を持つことが怖くて逃げ出したライアンとの二人旅。マックスは洗車屋を始めるためにピッツバーグへ向かっている。ライアンは妻に謝り、子…

映画 日本と原発

2014年。河合弘之弁護士が監督。これを見た後で、原発推進を心から唱える人はほぼいないのではないか、と思う。それでも、原発推進を唱えるとすれば、経済的に原発に依存していて、がんじがらめの状況下にいる人としか思えない。今、川内原発が稼動して…

映画 ベンゴ

2000年。トニー・ガトリフ監督。情熱的なフラメンコが鳴り続ける。音楽主体の映画。舞台は、スペイン・アンダルシア地方。音楽が生活の中に融け込んでいる人は周りを見てもいないわけではないが、ぼくのように距離を置いてしまうタイプからすると、常に…

映画 トランシルバニア

2006年。トニー・ガトリフ監督。ルーマニアのトランシルバニア地方へ、失踪した恋人を探しにやってきたフランス人女性を描く。全編が土地の音楽に溢れている。「音楽は生きる力のためにある。苦しみのためではない」ロマの音楽隊の男が語る言葉が胸に残…

映画 地球交響曲第7番

2010年。高野孝子(環境教育活動家)、グレッグ・レモン(ツールドフランス覇者)、アンドリュー・ワイル(総合医療医学博士)を描く。ちょうど「探究Ⅱ」(柄谷行人)を読みながら、スピノザの神の観念について考えているときに、日本の縄文時代に生まれた「…

映画 ブリキの太鼓

1979年。西ドイツ・ポーランド・フランス・ユーゴスラビア。性描写の多いこの映画を、ぼくは中学生のときに映画館で観たのを憶えている。なぜだろう?不思議な映画だ。3歳のときに自分で体の成長を止めることを選び、その関係か分からないが、悲鳴を上…

映画 アンダーグラウンド

1995年。フランス、ドイツ、ハンガリー、ユーゴスラビア、ブルガリア合作。現在、セルビアの首都であるベオグラードが舞台。第二次世界大戦からユーゴスラビア内戦までが背景となる。善悪の基準など吹き飛ばされてしまった映画で、その混沌とした描写に…

映画 長江哀歌

2006年。中国。ぼくは長江がどの有名な町を流れているかも知らない。そして、近年、ダム工事によって、どのくらいの規模で町が沈められたのかも知らない。映画を観た感じだと、やはり中国。相当、大きな町がダムの底へ沈んでしまうらしい。 地名を憶えな…

映画 ミスティック・リバー

2003年。クリント・イーストウッド監督。3人の少年のうち、1人が大人たちに連れ去られて、4日間監禁される事件が起こる。この事件は、連れて行かれた1人のみならず、3人それぞれの人生に大きな影を落とす。性的虐待を受けるという体験の有無が、強者…

映画 めざめ

2002年。フランス。原題はcarnages(大虐殺、語源は死肉の意)。邦題は、いつも原題と比べると、耳触りのいい方向へ変更される。ネガティブな言葉を遠ざけようとする日本文化の特質が分かりやすく表れている。さておき、これは怖い映画だった。もちろん、…

映画 ニノの空

1997年。フランス。3週間、離ればなれになって、お互いの気持ちを確かめよう、という恋人からの提案に応じて旅に出た男と、ニノという不思議な旅人の二人旅の物語。ぼくがこの映画を観て、一番気になったことと言えば、人間はどのくらい風呂に入らない…

映画 フリーゾーン

2005年。イスラエル。アラブ人とイスラエル人。延々と続く抗争で、それぞれの人生は、積木を積んでは崩され、積んでは崩され、の繰り返しを余儀なくされている。共感と敵意。その微妙なバランスの中で、敵意に大きく傾いた瞬間に爆弾が炸裂する。だから…

映画 クリーン

2004年。フランス。マギー・チェン主演。薬物の過剰摂取によりロックミュージシャンの夫が突然死。妻のエミリーも、薬物使用で検挙され、一人息子の教育権を奪われてしまう。出所後、パリに移住したエミリーは、人生を一からやり直す決意を固める。ミュ…

映画 紙の月

2014年。宮沢りえ主演。「あなた、自分をみじめだと思うの?」銀行の営業である主人公の使い込みを突き止めて、追い詰めた先輩行員が主人公へ投げかけるこのひとことにこの映画は集約される。そうか、みじめではない。主人公はそれに気づいて、座ってい…