gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

陽向(ひなた)、誕生

今朝、ついに君は生まれてきた。プルンと出てきた体は、丸々としていて、「大き〜い」という助産婦さんの声とともに、君は泣き声をあげた。君も、君のお母さんもとってもがんばった。お父さんもほんのちょっとがんばった。3人でくたくたの日曜日の朝だった…

浅田真央

「本当に長かったというか、あっという間に終わってしまった」銀メダルのコメントを聴いて、初めてアイドル選手としてでなく、人間としてこの人に興味を持った。フリーの4分間で、たくさんのことを考えた、と言う。ジャンプの中の一秒、スピンの中の一秒を…

手の力

幼い頃、祖父母の家でお腹が痛くなると、祖母がリューマチにかかった不自由な手をかざしてくれた。少し温かくなって、痛みが消えたような思い出がある。祖母は、その頃の私にとって、魔法使いのおばあさんのように、不思議な力を持っている人であった。先日…

緩やかな時が過ぎる

出産予定日を過ぎて、みんな君の誕生を少しそわそわしながら待っている。私は、昼過ぎに妻に電話をかけて、「変わりはない?」「うん、いつもどおり」という会話が日課になっている。妻は、親子バッグを革でつくりたいと、毎日デザインを練り、私が帰ると、…

映画 麦の穂をゆらす風

美しい田園風景を背景とした優しさにあふれる映画、を期待して選んだタイトルだったが、ものの見事に予想は外れた。1920年代、アイルランド紛争の名もなき戦士たちの物語。虐殺シーンあり、拷問シーンありで、優しさなんてあったもんじゃない。英国圧政…

壮麗なるに似た蛇

年に2度か、3度は、森敦の「意味の変容」を読みたくなる。半年くらい前に、この本に絡めて、グリッドフレームという会社を立ち上げるまでをブログに書こうとしたが、途中で断念していた。この本の言わんとしていることが、よく分からなくなってきたからだ。…

梅の花に気づくことなく、この季節を過ごしてしまうことが多いのは、おそらく私だけではないだろう。今年は、新宿御苑へ行く回数が多いため、梅の花を堪能できた。枝と花のバランスのよさは、桜の比ではない。モノトーンに赤い花。日本的モダニズムを感じさ…

映画 ニューシネマパラダイス

映画を観る人がいなくなり、映画館ニューシネマパラダイスは閉館する。有名な映画監督になったトトは、30年ぶりにシシリア島へ帰郷する。子供の頃、この映画館の映写技師だった。帰郷の理由は、先代の映写技師で、父親のように慕っていたアルフレードが亡…

きのうのすごいを、あしたのふつうに

JR東日本の採用広告のコピーである。技術革新やサービス向上によって、「すごい」と思われていることを、ふつうのこと、あたりまえのこと、にしていこう、という企業姿勢を表している言葉だということはわかる。しかし、「すごい」ということが無限にどん…

人造人間 キカイダー

小学校の低学年の頃、キカイダーはテレビに登場した。2歳上の姉が、「頭にゴミが入っとーよ」と言って、ケラケラ笑っていたのをよく憶えている。頭の中の機械がガラスやアクリルの向こうに見えているという、最近はごく当たり前になったデザインの先駆けだっ…

フィギュアスケートの見所

スポーツの見所の一つは、試合中の選手の表情である。冬季オリンピックでは、ヘルメットやゴーグルをしていてよく見えない競技もあるが、例えば、投げるときの真剣な表情が魅力的だからこそ、トリノ五輪からカーリングが人気競技になったのだと思う。なかで…

西洋医学と東洋医学

月曜日に腰をやってしまい、昨日、整形外科のクリニックへ行くと、レントゲンをとり、患部を特定し、そこへ炎症を鎮める注射を打ってもらった。その後、患部に湿布を貼ってもらい、クリニックを出た。注射は即効性があり、本日はほぼ普通の動きができるよう…

闘え!レッドタイガー

中学生だったか、高校生だったか、夕方何となくテレビを観ていたら、「闘え!レッドタイガー」というヒーロー番組が始まった。仮面ライダーの亜流ヒーローはたくさんいて、さすがに食いついてみるような年でもなかったのに、これを観た、という記憶が何十年…

お腹にいる赤ん坊の反応

目覚ましの音がけたたましく鳴り響くと、妻のお腹の中から、クレームが来るらしい。妻によると、スティービー・ワンダーが歌うときのように、上半身を左右に動かすそうだが、それがどうしてクレームなんだろう?いずれにせよ、赤ん坊は音に反応する。それか…

映画 エレファント

2003年の映画だが、私がこの頃、ほとんど世の中の常識についていってなかったこともあり、この映画が「コロンバイン高校銃乱射事件」を主題にしていることを知らなかった。DVDの装丁が魅力的で、良作の匂いがしたから、観ることにしたのである。最初…

映画 あの頃ペニー・レインと

日本人は、この手のタイトルにやられてしまう。原題「almost famous(ほとんど有名)」のままだったら、まず観たいとは思わない。なにか淋しげな、はかなげな、ビートルズがいた時代の青春・・・の匂いが漂ってくる。村上春樹の匂いに似ている。なんだかよく分…

デンマークの北端

デンマークの北端は海に消えていく。岬と言えば、切り立った崖を想像するが、グレーネンの岬は、砂浜である。砂浜に、左から寄せる波と、右から寄せる波が、同時に迫ってきて、とうとう陸がなくなる。私は夕暮れ時に歩いたため、だんだんと周囲が暗くなって…

マテリアルス・コンセプト

店舗の企画・設計を長くやっていると、好不況に関係なく、店舗に「個性」を求める人々(カスタマー)は増え続けていることを感じます。「個性」とは、商品の個性だったり、店のオーナーやスタッフの個性であったり、店のコンセプトの個性だったり、商空間の…

貧しさについて

私は30歳までに30近い数の国を訪れたが、その大半は経済的に貧しい国だった。どの国も驚くほど不便なことがたくさんあったけれど、だからこそたくさんの貴重な経験ができた。言葉の通じない国で多くを経験するためには、普通に過ごすことさえ不便である…

国木田独歩 忘れえぬ人々

心の中の風景に出てくる人々は、内面化されているがゆえに「忘れえぬ人々」である。よって、一旦話をして、その人の自我を感じ取ると、すでに内面に収まらない存在となり、逆説的に、「忘れえぬ人々」になりうる資格を剥奪されてしまう。例えば、ミレーの「晩…

過去・現在・未来 3 あるいは 4

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20100205/1265401832一昨日、映画「トニー滝谷」について書いたのが、このシリーズの3と言ってもよさそうなので、今日は4である。藤井フミヤに「INSIDE」という曲がある。偶然の幻に 人ごみへと影を追って さまよう影こ…

山手線

日曜日の朝、電車は空いている。渋谷駅で山手線内回り電車へ9時45分に乗り込む。ふと1周してみたくなったのだ。乗り込んだとき、車両端の4人席をおじさんが横になって独り占めしている。熟睡中らしい。みな、ちらりと見ながら乗り込むがさほど気にして…

映画 トニー滝谷

ひとりが、ふたりになって、またひとりになる。そのシンプルなストーリーは、妻になる女性が登場するあたりから、すでに見通すことができる。その女性はトニー滝谷と生き続けるにはあまりに美しすぎるのである。つまり、観る者は、映画の中の過去・現在・未…

過去・現在・未来 2

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20100202/1265117766よく「くよくよする性格」とか、「過去の栄光にすがる」とか、過去に向く割合の多い人間は非難される。過去がネガティブだろうが、ポジティブだろうが、である。周囲は、常に現在・未来に向くことを私…

政治とカネ

民主党の脇の甘さもどうかとは思うが、カネの問題を見つけては公務を進められない状況をつくって喜んでいる人たちがたくさんいるこの国には、いい加減嫌気がさす。どうでもいいから、仕事してくれ。させてくれ。

過去・現在・未来 1

人は現在からの視点で、過去を振り返り、現在をつかもうとし、未来を予感しつつ生きている。果たして、いい人生を生きるには、それぞれに意識が向く割合をどのくらいに設定すればよいのだろう?ここのところ、それをよく考える。「何のために生きているのだ…

臨月

果てしなく広がっていた世界は、数ヶ月のうちにみるみる小さくなって、今では体を動かすごとに、世界のかたちが変わるくらいに、君の体は大きくなった。いよいよ君の世界を出るときが近づいている。おなかをつつくと、つつき返してくるのは、君の外へ出たい…