2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧
ゲルハルト・リヒターの展示を見ているときに、近くでカップルの彼の方が彼女に囁いた。「何なのか全然わからない」 こんな囁きがいたるところで聞かれた。 そもそも分かる必要などないし、分かった気になっても仕方がない。 今は本を読んで分かる、というこ…
リチャード・アベドンの写真集をアメリカで買ったのはもう30年前になる。 背景のないポートレートは、対象と向かい合う感覚を与えてくれる。美しく撮られたものはむしろ少ない。ドキリとするものが多いかもしれない。 ぼくはベトナム戦争のナパーム爆弾の…
例えば、ティッシュペーパーに一点でもシミがついていれば、それは汚れていると見なされる。 店に並んでいる多くの商品もそうだ。引き渡しのときの建築もそうだ。さらには、ゴシップ記事によってイメージを汚された人の印象もそうだ。 つまり、汚れというも…
最近、ハイキーな写真にはまっている。 リチャード・アベドンのポートレートにはハイキーな写真が多い印象だ。 背景が白く飛んで、モノの質感のみが強調される。 ぼくの感覚に合う。
理想的な旅とは、どのような旅か? これは人によってかなり答えが違ってくるのだろう。 ぼくは名所旧跡を巡ることにほとんど魅力を感じないし、ぼくの周りにもそんな人が多い。 旅に求めるのは、外部性である。極端にいえば、見知らぬ土地で迷子になりたいの…
お互いに高め合うコミュニケーションを近しい人とできるか? このことがその人の幸福を決める。
台風が連続でやってきて雨の多い毎日だが、こんな週は一瞬でも陽射しがあると気持ちが高揚する。 そして、ちょっとだけランニングに出かける。すると、途中で大雨が降り始める。 ずぶ濡れになりながら走るが、気持ちがいい。
この季節は晴れる日が多い記憶がある。だが、ここ数週間は雨の日が多い。 陽向は、速く走ることが彼の回復に最も効果があるらしい。 陽向を外苑に連れ出して、陽向と1周を競争する。 ここ1か月で、メキメキ力をつけた陽向相手にもう手は抜けない。 最後のダ…
「取り残された」という感覚は嫌いではない。その寂しさは、ある種の美しさを伴うように感じるからだ。 なぜ美しさを感じ取るのだろう? 取り残されるとは、どのようにして起こるのか? 例えば、すっかり寂れてしまった遊園地があるとしよう。往時には、そこ…
ぼくの周囲にLGBTの人が多いわけではない。ときおり見かけることがあるが、時代が進むにつれて気にならなくなっているし、記憶にも残らなくなっている。 多くの人に同じことが起こっているだろう。時代は、みんなを寛容にし、そして、違和感すら消してきた。…
遠浅の海で海苔を養殖する風景は、日本の美しい風景の一つであることを多くの写真家が証明している。
見る力が卓越しすぎて、聞くことに集中できない。 陽向はそう言われている。 ぼくはどうだったろうか? ぼくも聞くことが苦手だった。 断片しか聞こえて来なくても、コンテクストを自分で補って意味をつなげていたのだと思う。 今も日常生活においては、ある…
テレビを見なくなってから10年以上経っても、唯一のデメリットを克服できていない。 それは、天気の情報に疎いことだ。ラジオでもつければよいかもしれないが、うちの家族は全員静かであることを好む。 今回の台風14号もこれまでにないくらい強い台風だ…
これだけ大きく日本が変化しようとしている時期は、未来を語る価値が大きい。 新自由主義とは、結局のところ利権主義で、あらゆるジャンルで本質的価値に目を向けられることがなかった。小泉政権以来、経済を捻じ曲げてきた竹中平蔵は今、ようやく検察の捜査…
前の内装が壊されて、建物の骨が露わになった状態から、何もしないで什器だけを置いて、物販店を始める、というかつてない試みに挑戦するクライアントがいる。 しかも、日本の三大ホテルと呼ばれているホテルの中で。 ぼくらがその方がよいと思ったとしても…
向こう側にあるものへの憧憬。
静かなサイン。
ゆらぎを伝える。
移動民族の自由を伝える。
鉄とペンキの質感を伝える。
鉄と布の質感を伝える。
鉄の質感を伝える。
運といってしまえば、あまりにも頼りない。だが、外部的な力は確実に作用し、結果から見ると、その力にも法則性が見いだされるように思えてならないのは、きっと誰にでも起こっているのだろう。 もう少し、この人間にチャンスを与えよう、と宇宙が動いたよう…
いつだって自由を求めて。
日本を壊れた国と認識するのは、個人的には初めてだのことだ。 政治家が壊れていても、官僚はしっかりやっているのだろうとなんとなく信じていた。 だが、自民党は自分たちの保身のためにイエスマンのみを重用して官僚を骨抜きにする政党だった。 国の立て直…
SYNESで久保亜津子がガラス作家・郡和子さんとコラボ制作した。それを、GRIDFRAMEで制作したクロカワ鉄のテーブルの上に載せて、表参道FURASUKOのセンター什器が完成した。 まさに混沌の中に宇宙が広がるようなガラスが、鉄板を切ったシンプルな曲線と重なり…
「たとえそこが忘れ去られた場所のように見えたとしても、世界は見る価値のあるモノで溢れている」 宅間國博さんの「Rebirth」が発しているメッセージはこれだ。 そして、ぼくがSOTOCHIKUの空間で伝えたいメッセージもこれだ。
宅間さんが30年前に出された写真集「Rebirth」はぼくをこの仕事に導いてくれた唯一無二の一冊だ。 その宅間さんから空間のご依頼をいただいて、昨日オフィスを訪ねた。2年ほど前にメールでファンレターを書いて、ズームでお話させていただいて以来で、実…
この山の風景と別の山の風景が同じに見えたとしたら、それは現実の世界を見ていないということだ。 恥ずかしいことに、ぼくにはその区別がつかないことが多いだろう。 例えば、富士の樹海から出られなくなる人はその区別がつかない人だと思うが、今のところ…
未来は不確定であることこそが魅力であり、その本然だ。 ぼくらが自分の生を謳歌するには、この不確定性を愉しむ力が不可欠であり、良かったり悪かったり、を当然のこととして引き受ける寛容さが大事だ。 不確定だった未来が、現在の行動によって、確定され…