1995年。フランス、ドイツ、ハンガリー、ユーゴスラビア、ブルガリア合作。
現在、セルビアの首都であるベオグラードが舞台。第二次世界大戦からユーゴスラビア内戦までが背景となる。
善悪の基準など吹き飛ばされてしまった映画で、その混沌とした描写による力強さは類を見ないかもしれない。
コメディの力は、おそらくこのような世界像をつくりあげるときに、もっとも強烈に作用するのだろう。
まさに、これが映画だ、というものに出会った感じがあった。
そして、人間もまた、この映画のようにあるのではないか。
自分の内側にあるような近しい人間は、あらゆる二項対立を無効化してしまうような存在としてある。
そんな発見があった。