1994年。フランス。
1572年の「サン・バルテルミの虐殺」というカトリックがプロテスタントを大量に殺すという史実が前半に描かれる。
フランス王は、次々と暗殺され、交代していく。
登場人物たちには、生を全うすることができる者が少ない。
歴史を学ぶ、とは、誰がどういう理由で誰を殺す、という連鎖を理解することなのか。
人物は、みな懐疑的で、刹那的で、良心とは一瞬垣間見えるものに過ぎない。
人が、無差別的に数多く殺される時代を描くなら、それもしょうがないのかもしれない。
死体の山を処理する光景は、大虐殺と呼ばれる史実には必ず出てくるものだが、映画の中では無臭であり、美しくもある。
歴史の教科書に出てくる絵画を見るときに抱く類いの違和感だ。
ぼくらは心に何を止めればいいのだろう?