gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

樹海

富士の山裾に広がる樹海には、かつて一度訪れたときの強烈な印象が残っていた。それまで自分の中にある森のイメージとは明らかに違う何かがあった。それが何だったか、確かめたい思いで、青木ヶ原へ訪れた。樹海とはよく言ったもので、海の底を思わせる世界…

アラユルコトヲジブンヲカンジョウニ入レズ

「いつか人類は滅亡するんだろうか?」と妻が私に問う。以前は、「人類の滅亡」という言葉は、結局のところ、自分の死を意味した。だから、単にそのような意味で「人類の滅亡」という言葉が恐ろしかったのではないか、と思う。だが、それなりに年を重ねた今の…

意味の変容 メモ 2

「境界こそは内部外部の変換の鑰(かぎ)であり、変換こそは認識の鑰である。」(森敦『意味の変容』p.7)ある思いを文章に変換したり、その文章を空間に変換したり、ある世界を別の世界に移す「変換」という作業を、私たちは創造と呼んでいるだろう。創造(…

コンビニ 2

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20120416かつて、近所の店には飲み物はコカコーラとファンタしかなくて、そこでファンタオレンジを買うのがとても楽しみだった。今コンビニには比較にならないくらい多種の飲み物を売っているにもかかわらず、何も買う気…

番傘

20年ほど前に浅草で見つけた傘屋で番傘を衝動買いした。それから10年使い続け、10年ほど前に電車に置き忘れて失くした。番傘をさすと、雨の音が楽しい。雨が跳ね返って、パラパラと明るい音がする。強風にも強い。少々の風では壊れない。そして、他の…

菩薩

女性の顔の絵を鉛筆で描き続けている友人がいる。彼はいつものように会社に突然訪ねてきて、最近描いた絵を見せてくれた。私はその変化に目を見張った。これまでの絵にはモデルがいたが、最近は心の中の顔を描くようになったそうだ。それとともに、顔から「…

意味の変容 メモ

自ら「毒を持つ」と声高に語る者がいる。だが、その毒は「毒のようなもの」に過ぎず、本当の毒ではありえない。なぜなら、本当の毒は必ず、その反対概念とともに在り、一方を声高に語ることなどできない類いのものであるからだ。一方を意識してしまえば、たちま…

しゃぼん玉

2歳になったばかりの陽向が、おもちゃ箱の奥から探し出してきたものを、私の前に差し出した。それは、しゃぼん玉をつくるための容器だった。買ってきたのは生後9カ月のときで、そのときにしゃぼん玉をたくさん飛ばしてあげて以来、ずっとおもちゃ箱の片隅…

同級生

小中学校で一緒だった同級生と久しぶりに会い、彼の運転で当時過ごした町を訪ねた。30年ぶりのことだ。小学校も中学校も、昔住んでいた家も、30年分、年をとっていた。つまり、建替えられてはいなかった。その事実だけで、その町がどのような町か分かる…

何もいわないこと

両親は、私がやりたいことを全てやらせてくれた。何かをやるのを止められたことは一度もない。だから私は、そこに意志があればすぐに実行することができた。その繰り返しで、今を生きている。ならば、少なくとも悔いなどあろうはずがない。今表れている結果…

熊本

実家の熊本へ帰っている。実家とはいえ、父の転勤によって、私が熊本で過ごしたのは15歳の夏から19歳の春までの4年足らずだ。他の場所と比べて思い出が多いわけではない。ただ小さい頃から両親は休みの度に姉と私を熊本へ連れてきた。思い出はむしろ、…

同じ器

「地球交響曲第三番」というドキュメンタリー映画の中で、アラスカでクマに襲われて亡くなった写真家・星野道夫のことが描かれている。彼が亡くなった後、アラスカの友人たちの中のひとりが、小さな観葉植物を買ってきて、それを「ミチオ」と名付け、水をや…

アジアンタム

7年一緒に暮らしているアジアンタムの枯れた茎をトリミング。「エフィラージュ・カット〜ォ!」などとつぶやきながら・・・。(美容室Real Clothesの四元さん、ごめんなさい) ← グリッドフレームのHPはこちらです

翼なき者

空を飛ぶ鳥に憧れたことのない人がいるだろうか。もし鳥になれたら、風を浴びながら、高い空からまるでgoogle earthのように大地を見おろすだろう。そう、私たちはこのような視界にいつも憧れている。でも、なにかをつくる、ということは、このような視界を…

コンビニ

コンビニには、商品の種類がたくさんあるにもかかわらず、買いたいと思うものがない、と以前に書いた。http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20100817そのときには、よく原因がわからなかったが、今はわかる。例えば、コンビニに中華丼が売っているが、私はコ…

目に見えるものの向こう側

なにかをつくろうとすることに目的があるとすれば、できあがる「目に見えるもの」の向こう側になにかを存在させようとすることだろう。それが科学的に存在するかどうか、ということが問題ではなく、たぶん人間が生きていくためにはそのような視点を持つこと…

映画 さや侍

2011年、松本人志監督。妻に先立たれて以来、脱藩し刀を捨てて鞘しか持たない侍。幼い娘と一緒に逃げ回る毎日。なぜ鞘を持ち続けるのか?鞘を捨てれば、完全に侍ではなくなってしまい、もう何者でもなくなってしまうからだ。つまり、生きる屍のようであ…

怠慢

ちょこちょこと怠けるよりは、ど〜んと怠けた方がよい。こころゆくまで、怠けた方がよい。ああ自分は、世界一の怠け者かもしれない、と不安になるくらいに怠ければよい。そこまでくると、通常の何倍もの勢いでがんばりたくなるものだ。 ← グリッドフレームの…

我慢

人と人の関係で、一方が我慢することによって平和が保たれている場合、必ずいつかその平和は壊れる。我慢は積み重なっていくもので、どのような人もゆくゆくはその重さに耐えられなくなるからである。だから、私は我慢を一切しない人と一緒に過ごすことを望…

ヒップホップ

「夜露死苦現代詩」都築響一でヒップホップの歌詞について紹介されている。紹介されているのは、Jay-Z、NAS、EMINEM。ヒップホップといえば、不安をあおるような音楽と言葉の洪水というイメージだけがあった。そして、そのイメージは歌詞を読んでも変わらな…

絵はいつ完成するのか

中学生の頃、毎週1回、油絵を習いに行っていた。おじいちゃん先生に、パンやコップや花の静物画を描くように言われた。その日、3時間くらい描いたら、画面に白いところはなくなった。先生が見に来られて、もっと塗るように、とおっしゃった。次の週、色が…

立ちそば WARABI

横浜駅の近くに、立ちそばWARABIが完成した。クライアントのご要望は、「そば屋に見えないそば屋」。ステンレスのカウンターは、一見バーにしか見えないが、それを支える構造は葉っぱの構造をイメージしながらつくっており、カウンタートップの曲線と…

横浜駅の床タイル

横浜駅の相鉄JOINUS入口付近の磁器タイルがよい。交通量が多いために、10センチ角の磁器タイルの多くにひびが入っている。それにつやのあるワックスが塗り重ねられて、ひびが毛細血管のような模様に見える。歴史を感じさせるような床になっている。…

映画 オアシス

2002年、韓国。美男美女の恋愛映画は、必ずしも画面の向こうにある美しさに触れる必要がない。この映画は違う。脳性麻痺で顔をゆがませて、腕が折り畳まれたような格好の女性と、貧乏ゆすりが癖の社会不適合者のあんちゃんとの恋愛映画である。しかも2…

可能性

例えば私はクライアントへのプレゼンに手描きのパースを用意する。それは手描きの方が私の感性がどのように空間に変換されるかがクライアントに伝わりやすいと考えるからだ。もうひとつ、CADでつくったパースでは、ベンヤミンの言うところの「アウラ」が…

桜と満月

満開のしだれ桜が咲き誇る空に満月。(乃木神社の鳥居の前) ← グリッドフレームのHPはこちらです

言いたくないこと

なぜ詩人は詩を書くのか。詩人とは書かずにはいられないほど、言葉があふれ出る人のことを言うのだろう。彼が生きるためには、書く必要があるのだ。逆に、生きるために書く必要がある人は、すべて詩人と呼べるのかもしれない。のっぴきならないところから発…

追いつめられること

デザインの提案をするときは、クライアントの私たちへの期待が大きいほどよい。その分だけ、追いつめられて苦しい思いをする。だが、それが同時に愉しみでなければ、この仕事を選んだ意味がない。冷や汗が出るくらいに追いつめられるときに、突破口を見つけ…

コダーイ 無伴奏チェロ・ソナタ

http://www.youtube.com/watch?v=4MEUIGjfHNw&feature=relmfuこの曲を聴くと、さまざまなイメージがこぼれおちてくる。空間を構想しながら聴いている。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

ソメイヨシノ

東京にも、もうすぐ桜が咲く。この場合の桜はほとんどソメイヨシノのことだ。ソメイヨシノは、種によってではなく、接ぎ木によって増えていくそうだ。つまり、人の手によって増えていく木なのだ。そして、接ぎ木によって増えるということは、全てのソメイヨ…