gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

音と光

都会で大人の遊び場といえば、音楽と照明に包まれる空間を言うが、それは人間がつくる夜の環境として最高の到達点と見なされているからなのか? つまりは、自然によって与えられた昼間の環境に対置されて、真逆の環境をつくりあげようとするものなのか? こ…

根っこ

掘り出して、切り離したはずなのに、蹴ってもびくともしない切り株。 まるで意志があるかのように。 今日もまた持って帰ることができなかった。

桜舞う

舞い散る桜をキャッチする数を陽向と競う。 ふたりとも、苦戦する。 受け止めようとすれば、花びらはすっと手をすり抜ける。 そして、意志を持たないかばんや服には知らぬ間にくっつく。 陽向があきらめた瞬間に、手のひらにそっと乗っかってきたひとひら。

インダストリアルとLGBT

新宿2丁目のDJバーICONが完成間近だ。 LGBTの街、新宿2丁目は、生きたいように生きる自由の街として、かつてのアングラのイメージを脱ぎ捨てて、世界の最先端へ躍り出ようとしている風を感じる。 この店の空間について、インダストリアルを徹底したのは、自…

一貫性

子供への教育として、一貫性のある対応は難しい。ときには、怒って見せたり、だんまりを決めたり、振り回されずこちらも主体だということを知ってもらおうとする。 だが、長続きはしない。いや、長続きしてはいけないのかもしれない。 時間が経てば、ケロッ…

トリガー

陽向を刺激する引き金が何なのか? それは予見することが難しいが、彼が夢中になる対象が何であれ、没頭したときの彼の集中力には目を見張るものがある。 今のところ、他人を幸せにするような対象に出会えていないが、彼が彼の運命的な何かに出会うことを心…

ペンキのキセキ 第1弾

タクマクニヒロさんから言葉を使用してもいいという許可をいただいた「ペンキのキセキ」。ようやくそのプロジェクトが完成する。毛細根のような模様と、色の深さはSOTOCHIKUならではのものだ。

塗り重ねる

大胆に行く。むしろその方が下地を生かす。そんなことの方が多い。

チュニジアの壁を想う

チュニジアに行ったのはもう30年くらい前になる。その壁の表情を想いながら壁に土を塗り付けていく。

陽向への視線

体調が良くなって、陽向は脳が活発に動くようになり、認識する範囲がずいぶん広がってきた。 それとともに、傍から見ると不思議に見える行動も増えてきて、そんな行動は往々にして周囲を困惑させる。 その好奇心は、時として周囲の制止も効かないほどで、一…

彼岸

春分の日は、桜の時期でもあり、なんだか明るい気持ちになる。 彼岸でもあり、ご先祖にそっと手を合わせる。 昨日から北海道から妻の妹とその娘たちが訪ねて来てくれていて、華やかさを添えてくれる。 そういえば、毎週のように通っていた近くのデニーズが2…

先生が泣く

陽向が先生との約束を守れなかったことで、学校へ呼び出される。 ぼくを廊下で待っていた先生は泣いていた。 これまでやってきた中で、一番言うことを聞いてくれない生徒です、と。 先生の信念に従った熱心な指導が陽向の心に届かないように、ぼくの願いも陽…

自分を変える

コミュニケーションとは、お互いが言葉を交わす中で変わっていくことを言うのだ、と安富歩氏は言う。 ぼくは陽向とのやり取りの中で自分が変わっていくのを実感している。つまり、少なくとも、自分側からはコミュニケーションが成立しているように思える。 …

言葉

陽向が言葉を聞くことができて、言葉を話すことができるようになることに懸命になっていたぼくたちだが、ぼくは急にそこから離脱したい気になった。 果たして、言葉は陽向の心に届くのか?コミュニケーションは言葉による必要があるのか? 言葉はしばしば人…

消えゆく顔

記憶から消えてしまうのは、ごく自然なことであるがゆえに哀しいことだ。 忘れないで・・・という祈りに揺さぶられる。

根を掘り出す

切られた木の根を掘り出す作業をしている。 陽向とひたすら、掘る、掘る、掘る・・・ 安住している虫たちを起こしてしまうのに心を痛めながら、やさしくゆっくりと土を動かす陽向に目を細める。

H鋼とコンクリート

何年にも亘って風雨に晒され続けた素材。ぼくは何時間でもそこにいたいと思う。

制作途中

製作途中の秩序と混沌の入り混じった動的な状態が魅力的であるのは、一般的であることを通り越して、普遍的であるように思う。 通りがかりの建築現場が、このままずっと工事中であってほしいと願うことすらある。 なぜなら、完成したものの大半はごくつまら…

リレーのように

どんどん蓄積されていくのを想像すると心は重くなる ぼくらはひとつひとつに向き合うことがだんだんできなくなっていくからだ だから、生み出されたカタチはやがて壊れ、消えていくのか 「35億年前、生命が誕生したとき、「死」はまだ生命システムに組み込…

エネルギーの縮小化

社会が成熟するにつれて、一人一人の人間のエネルギーは縮小化していく。 社会を構成するある一人の人間のエネルギーが大きくなるとき、往々にして社会にとってよい方向と不都合な方向の両方が大きくなる。 社会は権力を握った者たちが舵取りをするから、現…

震災から12年

あの震災から干支が一回りした。あのときに被災した子供たちはもう大人になった。 約2万人が亡くなった。爆発した原発はまだ危険なままにある。傷痕は今も生々しく残る。 これが日本か?ぼくのこの国に対する信頼が揺らぎ始めた最初の出来事であったかもし…

消えそうな体温

削られて消えてしまいそうな人間のカタチは、それが消えそうであればあるほど、この空間に体温を与えてくれる。 それは、すべての人間にとって避けられない体験が生む温度であり、そっぽを向いてはいられない。 直視することを許さないと同時に、目を背ける…

バルセロナの集合住宅回想

ぼくの理想の建築物は?と問われたら、すぐさまこのバルセロナの集合住宅を思い浮かべる。 1995年の夏に滞在したバルセロナはぼくの空間感覚に大きな影響をもたらしたが、なかでも旧市街にあるこの集合住宅のインパクトは忘れられない。 元の建物が半分…

とうがらし

陽向が昨年の移動教室のときに、長野のお土産にとうがらしをぼくに買ってきてくれてうれしかった。 ぼくの地味な嗜好を観察してくれていたんだな、と。 陽向の機能性低血糖症の症状がかなりひどいときだったから、なおさらだった。 今は、陽向もとうがらしが…

人がそこにいること

写真の中に人がいるかどうか、それは大きな違いであることを噛みしめる。 空間も、そこに人がいるかどうか、で大きく違う。 明日も今日のようにある、ということが奇跡のように感じられるならば、ぼくらはみんな奇跡のように生きていることを感じられる。

一秒

一秒で世界が変わることがある。 そう言われて想起されることは、ネガティブなことばかりだ。 つくりあげていくには、必ず時間がかかるが、壊すのは一秒でできるからだ。 幸せもつくりあげるもので、ゼロから始めるのであれば時間がかかる。 いや、ひとつ。…

今、日常的に船に乗る人はさほど多くない。 でも、人生を船に乗ることに例えることが多いのはなぜだろう。 それは人類の歴史において、もっとも古い遠出の交通手段が船だったからだろう。 ぼくは半世紀以上を生きて、船に乗った回数はきっと100回にも満た…

鉄の欄干

行き帰りに通る見慣れた橋の欄干をいつも心地よく見ている。

像を結ぶ欲求

壁に大写しにされたこの女性がどのような意思を持って、どのような心持でいるのか? 否応なく想像させるには、このくらい見えないほうがいい、と思う。

3月の気

3月になると明らかに気が変わる。それは気候の気であり、気配の気であり、気色の気でもある。 重いコートを着ることもなくなる。そう、世界全体が軽くなるのだ。