2004年。フランス。マギー・チェン主演。
薬物の過剰摂取によりロックミュージシャンの夫が突然死。妻のエミリーも、薬物使用で検挙され、一人息子の教育権を奪われてしまう。出所後、パリに移住したエミリーは、人生を一からやり直す決意を固める。
ミュージシャンの女性が、ミュージシャンとして生活を再生するテーマであるフランス映画の主演に、なぜ香港出身のアジア人女優が選ばれたのか?それが、最初に感じた違和感だ。
もっとも、マギー・チェンはアサイヤス監督の妻だったのだから、監督の世界観だといってしまえばそれまでかもしれない。
ぼくがアジア人であるためか、エミリーの苦しみはとても生々しく感じられる。
苦しみの果てに、救いがさしのべられるかのように、安らぎが訪れるが、それは1秒違っていれば得られなかったかのような類いのものであり、ぼくらはむしろ、そんなことを「必然」と呼ぶのだろう。
そして、予定調和のない生き方とは、このような人生をいうのだろう。