2000年。トニー・ガトリフ監督。
情熱的なフラメンコが鳴り続ける。音楽主体の映画。舞台は、スペイン・アンダルシア地方。
音楽が生活の中に融け込んでいる人は周りを見てもいないわけではないが、ぼくのように距離を置いてしまうタイプからすると、常に酒に酔っているように見えて、うらやましく思う反面、ちょっと理解しがたいところがある。
ロマとは、常に音楽と一体化しているような民族なんだろうか。
ストーリーとしては、一族の血の抗争が描かれている。命を狙われていても、集団で音楽にのめりこむなど、尋常の精神ではないなあ。
日本のヤクザ映画では、まずありえない。
音楽を聴いているときは襲わない、という暗黙の了解があるのだろうか。
言葉を必要としない文化には、科学文明の発達が伴わない。
ベンツに乗り、外国製のステレオで音楽を聴く。
血の抗争で1人ずつ殺されたとしても、人口は減ることはない。
均衡を保ちながら、これからも何百年も同じ風景の中で、みんなで音楽を聴き、踊りながら生きていく。
命を狙われる甥の持つ障害を、障害と感じさせない力も、この文化ならでは、だと思う。