gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

春落葉

春落葉・・・という言葉を何となく最近美しく感じている。そういえば、10年以上も前に、千葉・鴨川の山奥に住むアーティスト・宮下昌也さんのお宅の周辺で拾い集めた楠の落葉を2枚の金網の間に挟んだ衝立をつくったっけ、と当時を思い出す。(写真は高坂敏夫さ…

アメリカでの建築教育

ニューヨーク州立大学での建築の教え方でもっとも際立った部分は、設計作品のプレゼンテーションの時間に、徹底的に他人の作品を批評させることである。自分の言葉であらゆる作品を批評できるようになること。これが自分の設計理念を確立することにつながっ…

アラブの世界

私にとってアラブ世界の魅力は、風化した建物と尋常ではないこだわりの幾何学模様とのコントラストにあると思う。壊れかけた建物でも、ただ単に捨てられたような印象のスペースはほとんど見当たらない。風景のどこかに人間の温度を感じられる何かがある。こ…

ゴミから生まれたネコたち

工場のゴミ置き場がいっぱいになって、業者さんに処分してもらっていたら、 「ネズミが4匹いるけど、どうしますか?」見ると、やわらかいゴミの上に生まれたばかりの4匹のネコたち。うわあ、どうすりゃいいんだ?

自然との共存

無数の生物がうごめいているような混沌(自然)をグリッド(格子)フレーム(骨組)の向こうに配置して、混沌と共存するというコンセプトで生まれたのがグリッドフレームである。つまり、「無秩序に秩序を重ねる」ための道具である。1994年から続けているコ…

夜の工場

工場での作業が夜に突入すると、周囲は静まり返る。そして、突然、サンダーの音が静寂を切り裂くかのように響き渡る。体格のよいスタッフ004の作業は、ただでさえ迫力があるのに、夜はさらに豪快に見える。火花を散らしている姿はまるで夜と格闘している…

風化について

風化したテント看板を発見する。これはきれいなのか?汚いのか? 美しいのか?醜いのか?それはどうしてなのか?醜いと感じたら、どうすれば美しくできるのか?例えば、このようにシャープな形状のフレームを2本、風化したものの上に配置してみる。たったこ…

柔道について

相手の動きや気配を察して、自分が動く。それが柔道で学んだこと。受動的に自らの動きを決定していく。その結果として、相手を投げたり、逆に投げられたりする。五感を相手に集中することからすべてが始まる。これを怠って、単に能動的に仕掛けようとすれば…

景色の変化

ヨーロッパの2つの国を歩いて旅したことがある。ひとつはオランダを210キロ、もうひとつはデンマークを150キロ。オランダはどこまでも平坦な土地で、歩いても歩いても同じ景色が続く。デンマークは写真のように丘陵地で、歩くうちにどんどん景色が変…

焦がす

木板を焦がしてロゴを描こうとして、今日はガスバーナーの炎と格闘した。あるかたちを表現するためには、焦がすことによって内側の領域と外側の領域の境界を描かなければならない。境界がくっきりとしすぎても面白くないし、ぼんやりしすぎるとかたちを認識…

現場写真というアート

現在、渋谷・道玄坂のラーメン店工事が佳境を迎えている。工事中の記録写真を見ていたら、この写真、ちょっとかっこいいじゃん、と目が止まる。スタッフ002の靴が写っているのも悪くない。記録のために、もしくは持ち返って考えるために、ばちばちと撮る…

56番のバスの終点

ナイロビの宿は、市街地から56番のバスに乗ってたどり着く場所にあった。その日も宿の近くの停留所で降りるつもりだったが、気が変わった。何となく終点まで行ってみたくなったのだ。20分ほど走っただろうか。終点に着いた。そこには集落があって、歩き出…

やめない理由

何事においても始めたら長続きする理由はなんですか、と聞かれることがある。答えは簡単である。「やめ方がわからない」子供のころ、柔道の稽古に隣の市まで毎日通っていた。一緒に始めた友達が次々に止めていく中、一人で延々と通い続けて、小中学生の全国…

早起きの証し

元来がぐうたらな性格をしているためか、朝早起きをすると誇らしげな気持ちになる。いつもオフィスに通う道は、国立競技場の横を歩く。午前6時台にここを歩くと朝日が観客席の下側を照らす風景に出会うことができる。6時台限定の素敵な眺めである。これが…

サバンナの朝陽

静かに自然に身を任せたいときがある。そして、そのような瞬間のために自分は生きているのではないだろうか、と思うときがある。空間をつくる者は、目を閉じて、その空間の匂い、音、空気の温度、湿度、網膜に映る光の強さ、などを心に刻まねばならない。頭…

消える高層ビル

カナダ・トロントの街中で、ふと上を見上げると見たことのない光景が目に飛び込んできた。高層ビルの上部が消えようとしている!複雑な形状をしたガラスの高層ビルが夕陽を浴びて光を乱反射させ、それが周囲の水蒸気にあたったためか、上部がぼんやりと光の…

都営地下鉄・春日駅の地下道

たくさんの配管の列を見ると血が騒ぐ。こういう設備関係のものがなす造形を、ヒントと見るべきか、それとも、完成形と見るべきか。いずれにせよ、こういう空間に出会うと目が覚める。

エンフォーブリンさん

「内モンゴルの首都フフホトへ行ったら、エンフォーブリンさんを訪ねたらいい」北京で出会った日本人にそう勧められ、その人を訪ねた。エンフォーさんは日本へ半年間、工場研修(?)へ行ったことがあり、なんとその半年間で日本語ぺらぺらになったらしい。…

内側の構造

スタッフ003は今、渋谷道玄坂のラーメン店のカウンターをつくっている。彼はこれまでたくさんの店のカウンターをつくってきた。今回のカウンターは、これから隠れてしまう内側の構造すら美しい。材料の太さのコンビネーションも完ぺきである。このまま営…

出会いについて

故郷へ帰るアルバイトさんが挨拶に訪れてくれた。一年余り、制作の現場を明るくしてくれた、いつも陽気で、気の利く、誰にも好かれる稀有の存在だった。故郷で家業を継ぎ、なおかつ、そこに新しい何かを足していこうと考えているそうだ。彼の将来が楽しみだ…

林を抜ける光

西側の障子窓に林を抜けてきた光が揺れる。このような姿は、遠い昔から日本人が日常的に眺めてきたものだろう。しばし、言葉を忘れる。障子のスクリーンは、その向こうにあるものを映し出し、見る者の想像力をかきたてる。外界と紙一枚で隔てられている中に…

美しさと距離

なにごともそうだが、ものを美しく見るには、その距離を選ばねばならない。・・・「阿蘇の野の花Ⅱ」佐藤武之最近になって、妻とともに花の美しさについて語ることが多くなった。逆になぜ最近になるまで花の美しさに対して関心を持たなかったのか?それにはわけ…

怪獣のようにうごめくオーロラ

このときのオーロラは動きが速かったのでした。空から襲いかかってくるようでした。・・・ふと私にはいろんなものが怪獣に見えることに、ブログを書き始めてから気づいた。ウルトラマン世代だからだろうか。私の尊敬するアメリカの大学教授が、「日本人の怪獣好…

現地調査

店舗内装・外装の問合せをいただくと、場所が決まっている場合は現地でお話を伺う。クライアントさんのご希望を伺いながら、まずは現状の空間から漂う空気を読む。そして、あるべき空気が流れるようにするためには何を変えるべきか、大きな方向性について考…

満月の夜の海岸

通いなれた砂浜は、その日はいつもと様子が全く違っていた。満月の夜の海岸はいつもより100メートルも砂浜が広がっていた。 遠くで波の音が、チャプン、チャプンと鳴っている。何かに呼ばれたかのように、水際へと足が進む。体が引力を感じるのだ。妻が後ろ…

自分がいいと思うもの

農家は、うまくて安全なものを食べているだろう。市場へ出すものは見かけが重要だから農薬を使って表面に虫食いのないものを出荷せざるをえないこともあるだろう。だから、食べ物としての質が低いものが世の中に流通するという事態が起こる。内装の世界も同…

動物との旅

動物と旅をしたい時期があった。馬に乗ったり、ラクダに乗ったり、犬を連れて歩いたり・・・。人間よりもストレートに自分を評価してくれるだろう、と思ったからだ。長旅をして、その動物に好かれたとしたら、俺っていい奴なのかも・・・と。チュニジアでラクダを1…

イタリア料理店の壁2

今度はスタッフ005から、壁のサンプルが送られてきた。飲食店づくりの素材で重要なことは、おいしそうな色と質感を持つことだと思う。005は素材を焼いて仕上げてきた。まるで料理するように・・・。

イメージすればその通りになる

自分はどれだけの現実をコントロールできるだろう?自分の心身をコントロールすることの達人が、一流と呼ばれる人たちなのだろう。周囲の動きを見極め、予想し、それに対応して自分の動きを正確にコントロールする。これを野生のカンでやる人もいるし、緻密…

忌野清志郎さんの死

1990年だったろうか。南アフリカ・反アパルトヘイト運動の象徴的存在、ネルソン・マンデラ氏が来日したとき、東京で記念コンサートが開かれ、いろいろなミュージシャンが入れ替わって演奏をした。そのような問題に詳しくはなかったが、関心の高い友人に…