gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

山手線の使い方

私の記憶が正しければ、森敦は芥川賞受賞作「月山」を山手線の電車の中で書いたらしい。朝から晩まで電車で東京を何周もしながら、高度な思考が紡ぎあげられたことを思うと愉快だ。まわりを見回せば、実はそんな人がいるかもしれない。私も、もろもろの考え…

11月のさくら

さくらが美しいのは花だけではない。新宿御苑をジョギングしていると、さくらの下にこんな落葉が降り積もっている。拾い集めるのが楽しい。

映画 グラン・トリノ

クリント・イーストウッドが俳優として出る映画はこれで最後と言われているらしい。彼のファンにはたまらない映画のようだ。日本にはおそらく彼のファンが多い。私にとっては、チャーリー・パーカーの生涯を描いた「バード」の監督というイメージである。ジ…

フェズの迷宮にて

モロッコのフェズは旧市街の迷宮で有名な町だ。迷路のような町を歩くのはどきどきする。狭い道を選んでどんどん奥へ入り込んでいく。目的は、迷子になること。たどり着いた公園で一休みしていると、ベンチに座っている私に、20歳くらいの女の子二人が話しか…

余剰エネルギーを求めて

今、医者が不足していることが大問題になっているのは周知の事実だ。いろいろなところから、医者たちの切迫した状況が伝えられる。不足しているのは、おそらく医者だけではない。労働人口の減少は、様々な仕事に人手不足をもたらしていくだろう。私について…

落ち葉、踏みしだかれて・・・

イチョウの葉は、美しいかたちをして、はらはらと落ちてくる。それを、たくさんの人が上を見ながら、踏んで歩く。美しいかたちは、踏まれる度に少しずつ、消滅していく。本当は、その様子の方が美しい。

カラス

昨日、ベランダで洗濯をしていると、私に気づかなかったのか、カラスが至近距離に舞い降りてきた。彼は、そこにある植物によほど興味があったようで、私が追い払おうと2メートル以内に近づいても、一瞬気づかないくらいだった。近くで見ると、カラスのくち…

九十九里

毎週末、九十九里の海岸を5キロ走っていたことがあった。砂浜の走りやすさは、月を見れば判断できることが、だんだん分かってきた。満月や新月の日は、潮の満ち引きが大きい。引き潮の時間に走ると、砂は締まって固い。スムーズに走ることができる。半月の…

微笑みについて

女優のインタビューの記事などで、どの写真も同じ微笑みをたたえていることがある。それが、とりあえず笑っておこう、という微笑みなのか、穏やかで優しい内面が外に表れているのか、わからない。アルカイック・スマイルと呼ばれる微笑みがある。口だけで笑…

映画 ぐるりのこと

「ぐるりのこと」というタイトルが重要である。聞きなれない言葉だが、つまり、「身のまわりのこと」という意味だろうと想像しながら、映画を見る。そうすれば、坦々としたストーリーの中に、主人公の夫婦を中心として、同心円状に広がる世界が描かれている…

銀杏並木の246交差点

銀杏並木は今年も美しく黄色い世界に染まっている。妻とふたり、交差点で国道246号を渡る信号待ちしていると、銀杏並木の横断歩道の真ん中に立って並木の向こうにある絵画館へ向けて写真を撮っている人がいた。日本ではお目にかかることが少ない、完璧な…

破壊的性格

10年以上前に買ったベンヤミンの「暴力批判論」を久しぶりに手に取った。その中の「破壊的性格」に10年以上前にやたらと書き込みをした跡があった。読んだことも忘れていたが、書き込みの中にこんなメモがあって、少し考え込んだ。「創造−保存−破壊−空虚 の…

生まれ来る命へ

女性は、お母さんの子宮の中にいた妊娠5ヶ月のときに、700万の卵子を持っていたそうだ。この世に生まれ出たときは、卵子の数は100万。思春期を迎える頃には40万。20〜30代には10万を切り、40歳を過ぎると1万を切る、という。人は生まれて…

松井秀喜

ワールドシリーズで打って打って打ちまくった松井。それほど野球には詳しくないが、彼のスイングは、「美しいものを鑑賞する」という見方で、野球を見ることができるのだということを教えてくれる。

bar ROYS

グラスタワーは大きなシャンデリアに匹敵する。

サハラ砂漠のゆで卵

朝食のゆで卵の殻をうまく剥くことができなかった。そんなとき、ふと思い出すことがある。チュニジアで砂漠と緑地の境界線に住む一家を訪ねたときに、食べさせてもらったゆで卵だ。 卵の殻を剥く手際の悪い私を見て、少年たちは笑った。そして、彼らは3分割…

五者択一

これまで五者択一の試験問題を何度も受けてきた。どちらかといえば得意な方だった。五者択一問題とは、いわば、自分で正解を答えるのではなく、5人が様々に答えるのを聞いて、誰が正しいのかを指摘する、という問題形式である。このように書くと、何かずる…

対抗軸の必要性

村上龍のRVRで、昔は体制が強くて、反体制について書けばよかったけれど、今では体制が弱体化してしまって、戦う相手がいなくなってしまい、書くことがなくなってしまった、というようなことを言っていた。辻井喬・上野千鶴子も「ポスト消費社会のゆくえ…

ひとりで過ごした夏休み

アメリカへ留学して初めての夏休み。クラスメートはそれぞれの故郷へ去り、バッファローにひとり残された。設計コンペに挑戦するために、本を読み漁り、ぼーっと考え続け、スケッチを繰り返す毎日。最初の2週間は、忙しく過ごした。しかし、3週間目に入っ…

フォトエマルジョン2

壁に写真を直接現像する実験に再度チャレンジした。プロジェクター投影時間を5パターン変えて実験したが、最もましな結果が上の写真で、結局画像は表れなかった。原因として考えられることは次の4つ。1.壁を印画紙に変えるフォトエマルジョンの壁面への…

外部アーティストとのコラボレーション企画

現在、グリッドフレームでは外部アーティストとのコラボレーションによる空間づくりの企画を進めています。もし、グリッドフレームの空間づくりに興味を持っておられるアーティストの方々がいらっしゃったら、私は空間づくりの中で、このようなことができる…

清怨夜曲/あがた森魚

http://www.youtube.com/watch?v=ETclb-1_wJk&feature=related10年ぶりくらいにあがた森魚を聴いてみた。80年代、大学の頃に通っていたバーでよくかかっていたアルバム『噫無情』が心のどこかに残っていて、社会人になってからアルバムを集めてみた。高…

メリエスの月

現在、横浜市に「メリエス」という名のパン屋さんを制作中。オーナーが映画がお好きで、「メリエス」とはジョルジュ・メリエスという映画創生期の製作者の名である。「月世界旅行」をyoutubeで観た。100年以上前の世界最初のSF映画である。科学者たちは巨…

映画 太陽

第二次世界大戦の終末期の昭和天皇をロシアの監督が描いた作品である。「現人神」が「人間」であることを宣言する。日本国民はみな頭の中では、天皇もまた人間であることを知っていただろう。だが、たてまえをたてまえと言うことも、そして、思うことも許さ…

バッファローに道をふさがれる

バッファローが3頭、私の前に立ちふさがった。ボルネオ島のジャングルの中。木々を通り抜けた日光が地面をキラキラさせている。細い獣道。私が先へ行くにはそこを通る以外にない。3頭は家族なのだろう。子供が1頭いる。低木の葉を貪り食っている。父親が…

中国人の家庭でもてなされる日本人

中国人の美徳として、客が食べきれないくらいたくさんの食事を出す、というのがあるそうだ。そして、日本人の美徳として、もてなされた食事を残してはいけない、というのがある。私が旅行中に中国人の家へ招かれて食事をもてなされたとき、双方の美徳によっ…

アカンサス

カーペットにぜひこの柄を、とクライアントに見せられたのは植物の模様。調べてみるとアカンサスという植物の柄だった。アカンサスは、古代ギリシア時代から現代にいたるまで、コリント様式の柱の装飾に始まり、絨毯の柄、モールディングなど内装によく用い…

フォトエマルジョン

壁に直接写真を焼き付ける方法を研究している。本日は一日中実験に費やしたが、どうもうまくいかない。購入したアメリカ製のフォトエマルジョン(壁を印画紙に変える乳剤)についての情報が不足しているためである。乳剤であるはずが、水に溶け切れていない…

ケインズの美人投票 その2

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20091031/1257016155では、私たちグリッドフレームはどのような方法でつくっているだろうか?私たちは、第二の方法、自分が美しいと思う空間をつくろうとしている。自分たちがよいと思えない空間はつくらない。第一の方法…

典型的なもの

運転免許の更新で鮫洲へ行った帰りに、なんとなく品川まで歩くことにした。知らない土地を歩くことは楽しい。その地域全体に漂う空気を捉えるためには、こんな日曜日の夕方がふさわしい。写真は、京急北品川駅手前の踏み切り。第一京浜からこの踏切の方をふ…