gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

父の三回忌

いろんな父を想い出すけれど、どれも言葉にしてどう、という話はない。日常とはそういうもので、父は私の生活全体の基盤であり、空気だった。それは言葉で表せる類いのものではない。父は平和を好む人だった。誰かが失敗をして、ふつうならクレームを言うで…

つながる

昨夜遅かったため、陽向より先に寝床に入る。陽向がやってきたので、目をつむったまま、陽向のほうへ手を伸ばす。陽向が応じて、手のひらに手のひらをのせてくる。しばらくたって目が覚めると、みんな眠っていて、私の手のひらには、陽向の足先がのっている…

和菓子屋

あるデザインで和菓子屋をモチーフにしようと調べていたら、和菓子屋は特異な空間だということをしみじみ感じた。江戸の頃に創業した老舗が多く、そのころから皇室ご用達の店もあり、いずれにせよ、庶民の食べ物ではなかったのだろう。空間は、金屏風と鹿鳴…

うた

うたも年齢にあわせて歳をとってくる。あんなにうたを歌うことが好きだった父が、60を過ぎてからはあまり歌わなくなった。いいかえれば、大事なときにだけ歌うようになった。一曲を大切に思うようになったのだと思う。もうすぐ父の三回忌。 ← グリッドフレ…

らーめん 真源

銀座8丁目に、らーめん真源がオープンした。北海道らーめんにふさわしい看板として、クマのイラストをおこすところから始めた。昨今は白熱球がLEDに取って代わろうとしているが、ラーメン屋は裸電球の光にこだわりたい。http://www.gridframe.co.jp/x12exte…

つくる人間が最も憎むべきことは、雑、である。どんなに精進しても、いざというときに、慌ててしまって、雑な動きをしてしまったら、何にもならない。急ぐのはよいが、慌ててはならない。このことに関してだけは、生活の中でも気をつけるよう、自分に言い聞…

映画 戦火のナージャ

2010年、ロシア。「太陽に灼かれて」の16年ぶりの続編。前作がすばらしかったので楽しみに観たが、比較に値しないもので残念な気持ちだけが残った。前作で死んだとされる人間たちが、全員生きていたことをはじめ、設定があまりにも生ぬるい。意図に反し…

講演@神戸の動画

10月13日(土)の講演@神戸の動画をyoutubeにアップしました。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

山を走る

大学の同期の飲み会に久しぶりに参加して、S君のとなりに座った。同期のSくんは、ひと月に300キロ走っているとのこと。意外な話題だったので、くらいついた。あと2年のうちに、モンブランの周り160キロを44時間の制限時間内に走る、という大会に…

愚に救われる、ということがある。気づかなくてよかった、ということがある。周りを気にしない、といえば、かっこいいが、周りに気がつかなかっただけ、ということがある。愚であるがゆえに、目の前だけに集中して、いつのまにか年をとる、ということがある…

飛行機

飛んでいるヘリコプターの灯りを見上げて、はしゃぐ陽向を見て、子供の頃はパイロットになりたかったことを思い出した。地平線の向こうの見たことのない世界へ行きたい。そこへ連れて行ってくれるものが飛行機だった。大人になるにつれ、気づいたのは、向こ…

らーめん 味八

西新宿に「らーめん味八」がオープンした。なんの変哲もない大型内照看板を改造して、木組みのトラス看板をつくった。手づくり感が増して、提供されるらーめんも丁寧な手づくりで美味しいに違いない、という連想を喚起する。(実際、らーめんはとても美味し…

社会的であること

友人は旅行先で地震が起きたとき、ちょうど温泉に入っていた。建物が潰れるかもしれない、と思ったが、彼がまず心配したのは、ここで死んだら裸で発見されることだったそうだ。だから、そこから逃げるより、まずは服を着る選択をした。裸で外へ飛び出すくら…

インスピレーション

インスピレーションを与えてくれる人を定義することはまず不可能だろう。だが、ぼくがものを発想するときに、最も必要とするのは、そんな人だ。少なくとも、それは世間一般の言うところのその人の「能力」とは、全く関係がない。確実に「美」とは関係するが…

映画 太陽に灼かれて

1994年。ロシア・フランス。観終わったあと、しばらく椅子から立ち上がる気にならず、沈黙して考え込んだ。このずっしりとした重厚感はどこから来るのか?ロシア(ソ連)という国と関係があるのか?スターリンの大粛清。でっち上げで、有能な将校が次々…

苔むす

最近、木の幹に生した苔の緑が目に飛び込んでくることが多いのは、葉の緑が存在感を失いつつあるからだろうか。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

遠い国

ずいぶん前のことだが、写真家の友人がイラクで撮影したビデオを日本のテレビ局に紹介に行ったときのことを話してくれた。そのビデオは、経済制裁を受けていた頃のイラクで日々たくさんの子供が死んでいることを伝える内容だった。日本のあるテレビ局のディ…

共通点

京都から25年来の知り合い若キチちゃんがやってきた。25年前に、上海行きのフェリーで出会った。二人とも自転車を積んでいたことで話が合った。二人とも同じ年齢だった。上陸後、彼はチベットを越えてネパールへ、私は内モンゴルの草原へ、それぞれ向か…

同一性

過去の自分のことを思い出して、まるで自分ではないかのように感じることは、誰にでもあるのではないだろうか。例えば、それが勇気ある行為だったりすると、こんな自分が本当にやれたのかなあ、と疑問を感じたりする。また、例えば、それが犯罪的行為だった…

不連続

何かを書こうとして、内容について考えていると、ほんの数秒前に考えていたことを思い出せなくなることがある。連続性を保つ限りで、文脈は新たにつくりだされる。それは、森の中の湧き水のようだが、一瞬他の考えがよぎったりすると、もう、森自体が忽然と…

映画 オール・アバウト・マイ・マザー

1999年。スペイン。ペドロ・アルモドバル監督。目の前で17歳の息子を交通事故で失う母親。母親にとって、これ以上の失意は考えられない。この映画は、女性の本質として「演じる」という言葉をキーワードとして描かれ、多様な「演じる」女性たちの中で、…

佇む

行く。帰る。日々はその繰り返しで過ぎていく。一方通行は時間だけで、ぼくらは丸い地球の上をぐるぐる動きまわるだけだ。 佇む。つまり、しばし、地表に平行のベクトルをゼロにする。真直ぐ立って、意識を空へ向ける。 繰り返しから逸脱の瞬間。 ← グリッド…

存在理由

ぼくは都会を一人で歩くことが多い。歩道を歩いていると、複数で歩いている人たちとすれ違う。どちらかがよけなければならないとすると、十中八九ぼくの方がよけることになる。別に不服に思うわけではないけれど、なぜいつもぼくの方なのか、と考えることが…

カラトラバ

カラトラバは、建築家の中でも異色の存在感を放っている。それは、数多くの橋をデザインしている、というところから来るのかもしれない。制約を感じさせない、自由なかたちが、のびのびと実現している感がある。作品群は動物の骨を想起させ、どれにもプリミ…

一歩を刻む

ここ数カ月、10キロ以上を週2回走っている。走ることの面白さは、走っているうちに心と体のバランスがシフトすることだろう。3キロくらいまでは、体が重く、一歩一歩を刻まされている感じで、自分の意思で体の動きをコントロールできる幅がない。だが、…

自由に歩く

子供の手をつながないで、自由に歩かせることができる場所は少ない。自由に歩き回れさえすれば上機嫌な陽向だが、保育園の行き帰りでそれができるのは、閑散とした地下鉄の駅の廊下のみだ。そのつかの間のショット。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

競馬

競馬場へ行った。東京では初めてのことだ。競馬場には、馬の走る姿の美しさを観に行く、なんてことをほざいていたこともあるが、大嘘である。馬券を買うと、ひたすら当てたい、と思うのみだ。スポーツ新聞を片手に、鉛筆でメモ書き。それが何か?という感じ…

映画 終わりなき叫び

2010年。フランス・ベルギー・チャド。舞台は、現在も内戦が続くチャド。息子に自分の仕事を取られた父親が、息子を戦争に行かせてしまう。と、書いてしまえば、一般的には、なんとひどい父親か、ということになるだろう。だが、その仕事が父親の人生そ…

映画 キナタイ・マニラ・アンダーグラウンド

2009年。フィリピン。20歳の警察学校に通う青年が、小銭を稼ぐつもりで露天商の集金を手伝った直後、闇組織のバラバラ殺人事件の片棒を担がされる一夜を描く。一歩足を突っ込んだら、逃げ出すことができない闇世界。青年は、途中逃げ出せるチャンスを…

青写真

11月の季語に、「青写真」というものがある。ネットでざっと検索したところ、かつてある少年雑誌の11月号の付録に必ず青写真がついていた、と書いてある。えっ、そんなことで季語になるわけ?(よっぽど国民的少年雑誌だったのだろう・・・)なぜ11月号だっ…