gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

講演のお知らせ

グリッドフレームの空間づくりにおける一貫したコンセプトである「汚しうる美」や「『なる』の空間」をテーマに「汚しうる美stainable beauty」というタイトルで、グリッドフレーム代表、田中稔郎(スタッフ001)が東京工業大学でお話させていただく機会…

映画 ゆれる

「何も信じないで、すべてを疑うのが、俺の知っているおまえだ。」兄は面会に来た弟に言う。その通り、弟は兄の無実を毛頭信じていない。ただ、兄のために、彼を裁判で無罪にしたいと思っている。弟は、吊り橋からの女性の落下事件の現場を、遠くから偶然見…

人が廃墟に見い出すもの

バッファロー駅の廃墟を見学させてもらったことがあった。しっかりした立派な建物だったから、別に何が壊れていたわけでもなかった(ように記憶しているが、そうではなかったかもしれない)。何年も人が訪れることのなかった場所には、ただ、意味をなくした…

ケヤキの枝

朝、ケヤキの木の下を通り過ぎようとすると、あれ、と思って立ち止まった。下の方に伸びる枝が、上の方から折れて落ちてきた枝を抱きかかえるように、しっかりと支える姿を目にしたからだ。ある枝が強風などで折れて、同じ木の枝にひっかかって落ちないこと…

金属プレートサンプル

上は、グリッドフレームの金属プレート加工サンプルである。身近に手に入る金属で、これほどいろいろな表情をつくることができる。あるがままの素材の上に、意図的な行為を重ね合わせて、あるがままの素材を向こう側に見せることによって、居住空間に取り込…

鉄という素材について

グリッドフレームは主に鉄を加工する工場を墨田区に持っている。もちろん、内装の仕上げにすべて鉄を用いるわけではないが、つくるものの多くの部分で鉄を用いている。鉄を選んだ理由としては、鉄が両義的な存在だからだ。その比重から、重厚感を表現するこ…

美容界の「する」と「なる」

リアルクローズの四元さんとお話していると、ブラントカットとエフィラージュカットが、そのまま私が書いてきた「する」の空間、「なる」の空間に対応しているような気がしている。美容の道を、クリエイティブに生きる道と捉えて活動を続けていらっしゃる四…

土木工事の現場にて

ゼネコンに入社すると、まもなく鉄道の高架橋の現場に配属され、現場監督として働くことになった。職人さんは新人の自分に対してずいぶんよくしてくれた。職人さんを指示するというよりは、職人さんに教えてもらう毎日だった。しかし、一月ほど過ぎると、職…

パースについて

パース自体は芸術的なものではなく、数学的なものであることはよく言われていることだ。パースを描けることが、すなわちその人が創造的であることを表すわけではない。コンピュータだって描けるわけだから。だが、だからといって、パースをコンピュータに任…

バリ島のホテルデザイン

現在、バリ島のテイストを取り入れた空間を計画中なので、バリのホテルの写真をたくさん集めた。完璧なシンメトリーの写真が大変多いことに驚く。バリの王朝建築や宗教建築がホテルデザインの元になっているからだろう。安定感があって、権威的。まさに王様…

Ksar Haddada

チュニジアには、土でつくられた3〜4階建の穀物倉庫が、歴史的建造物としてたくさん残されている。Ksar Haddadaは、その中で最も美しいものだと思う。少なくとも、私が見た中では。強い日差しがフリーハンドな造形にくっきりとした陰影をつける。白く塗ら…

4月のイチョウ

イチョウ並木は、今年もなんともかわいい小さな葉っぱが顔を出している。この時期のイチョウが私はとても好きだ。

宇宙の時間

私たちが宇宙の時間について想いを馳せることは人生で何度あるだろう。陽向を熊本の両親に見せるための帰郷。喜ぶ両親を見ていると、果てしなく遠い過去から脈々と私へとつながれてきた命のリレーについて、想いを馳せざるをえない気持ちになる。その始まり…

陽向、飛行機に乗る

今から45年前、私は熊本で生まれ、その1ヵ月後、東京で働く父親の元に母親と移動するために飛行機に乗ったらしい。気圧の変化で耳を痛めるのでは、と周囲は心配したらしいが、問題なく羽田空港に着陸。母は、無事東京へ着いたと安心して、タクシーに乗り込ん…

必死から来る発想

今日も浮浪者の方たちの住居の横を通り過ぎる。今日のように四月にしては寒い雨の一日は、昼間も住居の中でジッとしている人が多い。手に入る限られた材料をもとに、様々な住居がある。場所をどこに選ぶかも、大きな違いにつながっている。ようやく暖かくな…

スペインのとある洞窟

プエルトリコ人2人、アメリカ人1人、日本人1人で車でスペインを旅した。私にはろくな説明もなく、プエルトリコ人が調べた場所に突然到着する。世にも美しい洞窟だった。しかし、私はこれがどこなのか知らない。バルセロナとマドリードの間にある、という…

GFの素材のつくり方

グリッドフレームとは、上の写真の格子状のフレームとして始まった。 あるがままのものに、秩序(意図的な行為)を重ね合わせることによって、あるがままのものを居住空間に取り込むことが目的であった。現在は、格子状のフレームこそ使用する頻度が減ったが…

CGについて

グリッドフレームでは、プレゼンにコンピュータ・グラフィック(CG)を使用しないことに決めている。第一に、CGは完成形の説明を目的として開発されたものであり、グリッドフレームの「つくりながら考える」というプロセスにそぐわないからである。第二…

横浜

横浜で動いているプロジェクトがあり、横浜という場所性について考えている。 横浜市は広く、郊外にはニュータウンがあり、安全でおしゃれな、そして表層的な町をつくりあげているが、横浜市の中心部は、日本の玄関口として栄えた150年以上の歴史のある港…

祭りのあと

祭りのあとの淋しさが いやでもやってくるのなら・・・私が子供の頃の吉田拓郎の歌だ。今日、陽向を友人のところへ連れて行ったら、とてもよい子にしていて、たくさん誉められて帰宅した。陽向にとっては、それは祭りのようだったのだろう。帰宅後、落ち着かな…

映画 北京バイオリン

中国と西洋クラシックとの組合せが魅力的だ。冒頭の田舎町のシーンは、まさに中国、という風景で、期待を盛り上げる。聡明で垢ぬけた主人公の少年と、田舎者そのものの風貌の父親が、少年をバイオリニストにするために、北京へやってくる。貧乏人と金持ち、…

秋葉系のパワー

人間には、内側から思考するタイプと外側から思考するタイプがいると思う。内側から思考するタイプは、外見など気にしない。外側から思考するタイプは、外からどう思われるか、を大事にする。そのバランスがとれていることが理想的と考えられていると思う。…

陽向、父と会話する

陽向の顔をじいっと観察し、発する音に耳を傾け、何を欲しているかを想像する。それが父のエネルギー充電の時間である。

ハナミズキ

この季節になると、グリッドフレームの青山オフィスにあるハナミズキの花の数を数える。今年は7個。去年は6個だったから、ひとつ増えたことになる。木を購入してから、5年経つが、3年間、小さすぎる鉢で育ててしまったために、購入した年は花が咲き乱れ…

俯瞰すること

高いところに住んで、景色を見下ろして生きる、ということが人間は好きなのだろうか?高層マンションが人気なのは、きっとそのような人が多いからだろう。全てが見渡せる、という状況に身を置き、対象から遠く離れて生きることと、地を這うように生きて、対…

陽向、10秒前を忘れる

忘れる、ということは素晴らしいことである。さっきまで、痛いところがあって大声で泣いていた陽向が、10秒後の今、何事もなかったかのように、満面の笑みを浮かべている。きっと、痛かったことをすっかり忘れてしまったのだろう。いま泣いたカラスがもう笑…

映画 世界はときどき美しい

「世界はときどき美しい」というタイトルは美しい。「ときどき」を入れることによって、リアリティを獲得している。なぜなら、このタイトルは「世界は通常は醜い」という裏の意味を含みこみ、世界全体がどうであるかを描き出してくれるからである。英語のタ…

アイリッシュパブについて

設計で、アイリッシュパブについて調べることがあった。元々、「エール」というアルコール度数の低い家庭でつくったビールを近隣の人に飲ませる場所というのが起源だそうで、子供から老人まで集まる、地域交流の場として今も機能しているらしい。雑貨屋と兼…

「なる」の空間 3

つくる人たちは、皆それぞれに感性を持っている。豊かな感性の持ち主が集まって、それぞれの感性をもとに空間をつくるならば、空間の質は格段に高められるだろう。そして、そのようなプロジェクトに関わる全ての人は、取り替えのきかない、つまりかけがえの…

「なる」の空間 2

一方で、つくろうとした通りにできあがった空間、つまり「する」の空間というものがある。・・・というより、こちらしかないし、そうでなければならない、と一般には考えられている。そして、「する」の空間をきっちりとつくれる人々のみをプロと呼べる、という…