1990年。フランス。トニー・ガトリフ監督。
南仏の海辺に、捨てられた者たちが集まって生きる。
ブレーメンの音楽隊も、捨てられた動物たちが集まって旅に出る物語だったが、「捨てられる」ことのアドバンテージはあるのか?
持たないことの強さはもちろんある。すでに失ってしまって、失うものがないことは強い。
すでに壊れてしまったものは、もう壊すことができない。それ以上に強いものはない、というのに似ている。
それが、個々の強さだ。
深く傷つけられた経験によって、他人の心の痛みが分かることの強さもある。
そんな人たちが集まることは、むろん強い。