gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

放送部

小学校高学年のころ、放送部員だった。給食の時間は放送室に入って、好きなレコードをかけて、好きな文章を読んだ。今振り返っても不思議なくらい自由だった。読む文章は、放送室に置いてある本から選んだ。笑える文章をいつも選んだ。今でも覚えているのは…

実現可能であるという情報

アメリカが原爆実験を成功させたときに、他国に対して、必死になって隠そうとしたのは、原爆をつくる方法より、成功したという情報そのものだった、ということが本に書かれていた。一見、不思議な話のようでいて、私たちの現実にもこの話がそのまま当てはま…

逆光の群青

1989年、ボルネオ島サバ州、キナバル山。朝、頂上付近で下山しながら撮った逆光の写真。もちろん、見ている風景はこの写真よりも明るい。だが、この美しい群青のスペクトルが自然の中に隠れている。思わずため息をついてしまうような美しさに溢れた星に…

疑えるということ

20年くらい前に読んだことだから正確ではないが、カール・ポパーという人が、科学的であることの条件は、反証可能性があること、と書いているそうだ。人は、科学的に証明されたと言われると、絶対に正しいことだ、と信じてしまうことが多いが、実は、その…

映画 アレクサンダー

世界史の教科書に出てきたアレクサンダー大王の東方遠征って、どういう話だったっけ、という理由で、この映画を観た。アレクサンダーを遥か彼方のインドまでの東方遠征に駆り立てた動機は何だったのか、正直なところ、観終わった後もよく分からなかった。前…

限界点の近く

自分を自分の限界点の近くに置きたがる習性の人がいる。たぶん私はそのタイプだ。10代の頃から、むしゃくしゃすると全力で走った。走ると、ものの10秒で自分の限界点に到達できる。そして、それとしばらく闘う。どこまで走れたら勝ち、走れなかったら負け。…

小学生の過去

今日、ファミリーレストランで遅い昼ご飯を食べていると、近くに座っているグループの甲高い声が耳に飛び込んできた。見ると、小学生高学年と見られる男女のカップル2組の会話だった。女1「○○君は、無神経よ」 女2「そうよ、無神経よ」 男1(頭をかきなが…

カリオストロ 補足

「観察の才と人間を見る目は、多くの場合、確乎たる信念や正しい立場といったものよりも、ずっと価値がある」ベンヤミンは、まさに「観察の才」の人なのだろう。「確乎たる信念や正しい立場」を疑うことから彼の仕事は始まったのだろうから、上記のような結…

美容室 brook ark part2

改めて、美容室brook arkの夜の写真を撮影した。空間が歌う感覚が写真から伝わるだろうか。

カリオストロ

「ベンヤミン 子供のための文化史」の中の一節で、18世紀の大詐欺師カリオストロについて書かれている。「かれのもった圧倒的な力は、どこから由来するのだろうか。(中略)多くのひとが信ずるところによると、それはかれの視線のせいである。かれの目に凝…

どのようにつくられたのだろう?

例えば、映画を観るときのこと。私はどのようにして、このシーンは撮られたのだろう、とか、どんな気持ちでこのシーンを撮ったのだろう?とつくるプロセスのことを想像しながら観る。おそらく、つくる仕事をしていれば、何事においても、そのような視線を向…

根拠のないこと

例えば、何か問題を抱えているときに、その問題を一気に解決しようとがんばっている人がいるとする。そんなときに、したり顔で、「少しずつしかよくならないよ」という人がいる。その根拠は、「今まで君ががんばって一気によくなったことなんて一度もないじ…

なにげない風景の中に 2

1995年。バッファロー近郊の国立公園。昔の時代を描いた映画を観ていると、ああ、今と同じ風景だなあ、と思うときがある。例えば、この写真のように、木を見上げて、背景に空が広がるシーンだ。100年前の人も、1000年前の人も、10000年前の人も、きっとこれ…

映画 オリヲン座からの招待状

宮沢りえ主演の「トニー滝谷」が大変よかったので、主演で選んだ。この人の佇まいは、そこにいるだけで響いてくるものがある。昭和30年代の描き方は、徹底しようとすればするほど、押し付けがましく、まるでテーマパークのようだ。「モンゴル」のときも書…

柄本 明

柄本明という人は、自意識を抑えようとする。「台本に書いてあるセリフをただ『言っているだけ』なんですけどね。役者っていうのは、そういう仕事ですから。」「表現しようとして逆に表現できないことに気づくこともあるし。」ある意味、ロボットのように、…

共感する力

仕事のことで、たまにインタビューを受けることがある。インタビュー終了後、充実した話ができた気になるかどうかは、私の調子よりも聞き手の「話を引き出す力」にかかっていると思う。聞き手の力は絶大である。では、聞き手の能力で一番大切なものは何だろ…

美容室brook ark

45坪の美容室brook arkが完成した。広さを生かして、ケヤキ並木から吹く風を感じる、さわやかな夏の高原のような空間をめざした。終わってみると、セット面、シャンプーブースなどの設置にリズムが感じられ、音楽が聞こえてくるかのようだ。基本的にやや暖…

ジグソーパズル

世の中には時間を潰すためだけに存在するものがある、と思う。私にとって、ジグソーパズルはその代表的なものだ。ひょっとしたら、激しく否定する人もいるかもしれないけれど・・・。私はそのあたりの存在には手を出さないことにしている。時間を潰すだなんて、…

映画 歩いても歩いても

「誰も知らない」の是枝監督の作品。別に大きな事件が起こるわけでもない一日が、ほんの少し人を変えて、それが永遠につながっていく。久しぶりに両親に会う日とは、まさにそんな日であり、また、そんな日として記憶に残っていくのだろう。母が相撲の力士の…

映画 カポーティ

アメリカの作家トルーマン・カポーティが代表作『冷血』を書いた過程を描いた映画である。1959年、カンサスの小さな町で起きた一家4人の惨殺事件を取材し、最終的には死刑となる殺人犯2人を信頼させて、真実を聞き出すことにより、著作を成功させたカポーテ…

風にそよぐ鉄板

美容室brook arkは、工事の最終段階を迎えている。ケヤキ並木から風が吹いてくる、高原のようなさわやかな美容室をつくろうとしてきた。水曜日、風にそよぐ鉄板を設置する工事に立ち会った。この難しい工事で風を感じられることを確認して、よい空間が完成す…

見る・見られるの関係

空間づくりとは、ある意味で人と人との関係をつくることである。そこで重要なことのひとつは、見る・見られるの関係について考えることである。設計においては、常にそれを念頭において考えてきたと思う。最近になってようやく気付いたことは、空間づくり抜き…

発明屋

小学生のとき、別冊マーガレットの愛読者だった。二つ上の姉が毎号買っていたからである。その頃、こやのかずこ、という人が「あいらぶ湯」というシリーズを描いていた。銭湯を営む家の娘が主人公だった。そこに「発明屋」と呼ばれる変なものばかりを発明す…

陽向の反撃

陽向は6ヶ月を過ぎた。今日、静かにしていてほしい場所で陽向が泣き始めたので、口に人差し指をあてて「シーッ」と言ってみた。その瞬間、陽向は泣き止んだ。どうやら、私のしぐさに興味を持ったらしい。効果があったことにびっくりした。その数秒後、また…

ガラスに映った風景

1995年。バルセロナ。車の窓を撮ったはずだが、どのような状況でこの写真が撮れたか、正確には思い出せない。今年の夏のように、暑い夏だった。なぜだろう。この写真を見ると、その暑さを思い出す。

マスク

18年前にアメリカでつくったマスク。他人の手によって操作される人間。第3の目である心眼をも、他人の手に握られている。気がつけば、そのような状況に陥っていることが人にはある、と思う。自分への戒めのためにつくったマスクである。

映画 二十世紀少年読本

サーカスの映画はどれも哀しい。体をはって人を楽しませる仕事には嘘がない。すべてがあけすけに見えてくる。だから、哀しい映画になる。学生時代にこの映画を観たとき、嘘のない仕事につきたい、と思った。それは現在の仕事につながっていると思う。嘘のな…

マテリアルスの新HP

8月末にマテリアルスのHPのデザインを一新した。http://www.materiars.jp現場レポートやブログ類もたくさん書き始めた。いよいよ本格的なプロジェクトが始まる。

スケールと食欲

アメリカ北東部では、よくロブスターを食べた。生きたロブスターが一匹10ドル前後。そのままゆでて、何もつけずに食べてもおいしい。ご馳走だ。普通のサイズで全長30センチ。結構大きい。食欲をそそる。その頃、夢の中で等身大のロブスターが出てきた。…

嘘について

嘘をつく目的は何だろう?まず考えられるのは、自分の保身のためである。私はこれまで自分の保身のために何度嘘をついただろう?一番最近の嘘はいつだろう?保身のためにつく嘘は、自分を傷つける。正直に言った方が、傷は浅いことが多いのを分かっていても…