gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・アーチア教授

ニューヨーク州立大学へ入学したとき、いちばん最初に出会った建築学科の教授がジョン・アーチア(John Archea)教授だった。彼は心理学が専門の先生だったが、日本の歴史などの学問的知識も、私よりも遥かに豊富だった。最初のプロジェクトはシェークスピアの…

陽向の耳

1歳7カ月の陽向は、親の話に耳を傾けるようになった。両親が自分とは関係のない話をしていると、静かにその場を立ち去る。気がついて、あわてて追いかけていくと、どうやらへそを曲げているわけではないようだ。怒ってはいない。平気な顔をしている。突然…

工場での作業

現在、本当に久しぶりに私自身が工場でものをつくっている。時間の合間を縫ってのことで、少しずつしかできないが、今後もこのような機会を積極的につくっていきたいと思う。大まかに全体の作業をイメージしてみるが、あまり計画的になりすぎないよう気をつ…

風を切るということ

なんの道具も用いず、自らの体だけで風を切ること、それが「走る」ということだ。2000年当時、誰よりも速く走った高橋尚子が有名なのは、もちろん五輪という大きな舞台で1位になったからだ。「走る」という言葉を象徴する存在として彼女の顔が浮かぶの…

安心

夢から覚めたとき、夢の中の出来事は現実には起きていないことを確認して、安心することがある。ああ、よかった、と。夢には意味がないかもしれない。だから、そこから何かを学ぶような類いのものではないかもしれない。だが、ああ、よかった、という安心を…

ニーチェ

ずっと前にキャンバスに鉛筆で描いたニーチェの顔。いくつかの本を読んだのはずいぶん前のことで、詳しい内容は覚えていない。しかし、ニーチェを読んで、強い人間になろうと思ったことだけは憶えている。 ← グリッドフレームのHPはこちらです ← ランキング…

映画 告白

久しぶりに二日連続で映画を観た。それも早朝。朝6時に目覚めて、すぐに映画を観る、というのは悪くない。脳の吸収がよい。昨日の「悪人」に引き続き、最愛の人(幼い娘)を殺される、という映画だ。映画のテーマは、犯人が中学生だったら、そして、あなた…

映画 悪人

「あんた、大事な人はおるね?」娘を殺された父親の言葉が胸を衝く。大事な人のために、おろおろしたり、必死になったり、じっと耐えたりする姿に唾を吐きかけられるような人生がこの世界にはたくさんある。その救われない現実を示された後に、胸に残るのは…

経済を動かすこと

土木の世界に限らず、ものをつくるという行為には、「もの自体の必要性」と「つくる行為自体によって経済を動かす必要性」という二つの要因が作用する。後者が前者より優先されるのは、本末転倒である。少なくとも、子供は澄んだ目をして、すっきりとそう思…

原発

土木工学部に入学するとき、大きなトンネル・橋・ダムなどはそれ自体が必要だからつくられるのだと信じていた。だが、卒業する頃には、「もの自体の必要性」と「つくる行為自体によって経済を動かすため」という二つの要因が作用してつくることが決定され、…

スガシカオ 黄金の月 アコースティックライブ

http://www.youtube.com/watch?v=QfgfEHrZTqIスガシカオの少年のようなしゃがれ声は、とても内省的に響く。一人称を「ぼく」と呼ぶのに、とても効果的だ。そのような声で、「闇を背負ってしまった。」などと過去形で言われると、もう決して戻ることができな…

異国の言語のアジテーション

夕方、拡声器の付いた車がアジりながら、青山通りを通り過ぎて行った。口調で、アジっていることは分かるが、聴きなれない響きの言葉だ。アフリカのどこかの部族の言語ではないか、と思われる音が、大音量で目の前を通り過ぎていくさまは、シュールだった。…

大事なもの

陽向は、居眠りしてもアンパンマンとバイキンマンを離さない。差し当り、これくらい大事にしているものは他にない。もうひとつ、ドキンチャンがあるが、いつもこの二つを選ぶ。もし、私が二つ選ぶとしてもこの二つを選ぶ。デザインが格段によい。・・・などと思…

映画と空間

昨日、一般にアメリカ映画ではストーリーの背景が固定されていると書いた。よって、わかりやすい映画になるし、安心して観ることができる。一方、どちらかといえば、ヨーロッパ映画はストーリーの背景さえも揺らぐ。だから、捉えがたいところがあるし、完全…

映画 トレーニング・デイ

その男は正義感の強い警官だったが、巨悪を倒すための手段として、悪に手を染めていく。それはありか、なしか?映画が問うているのはそこだ。これは、暴力を平和を導く手段としては肯定するか、という問いに似ている。どの戦争も大義を掲げて始まる。戦争は…

不在

朽ちかけた古いビルで、ビデオ・コンサートが開かれていて、私は折り畳み椅子に座って聴いているうちに眠りこけてしまった、という夢を見た。場所は、渋谷か、原宿か・・・?コンサート終了後に目が覚めたら、持ってきたカバンが見当たらない。ゴミゴミした会場…

ファサード集

GFのファサード集を更新した。ずっと前からやりたかったのだが、手が回らなかったことだ。http://www.gridframe.co.jp/x12exterior.htm3.11の後、植物を取り入れるお店が増加している。多くの人々が、ほっとするような空間を求めているのだ。しばらくこの…

ひとりで草原に立つこと

四方が地平線だということは、私は世界の真ん中に立っていることになる。どこへ逃げようもない。どんなに自転車を漕いでも、真ん中のままだ。喉が渇いてはいるが、腹は減っていない。大丈夫。まだ、缶ジュースが一本ある。方向は間違えようがない。太陽を背…

首都高の曲線

お台場の観覧車から見る景色。都会で最も美しいと思うものの一つに、高速道路がある。その曲線は、道路という機能から導き出されているがゆえに、道路から道路へとスムースにつながってゆく美しさがある。土木構造物が持つ「用の美」に、心がときめく。 ← グ…

鉢呂経産大臣の辞任

そもそも政治家の仕事とはなんだろう?国民はすでに分からなくなっているだろう。しゃべることは政治家の仕事の中でも大きな部分を占めるだろうが、失言ひとつで辞任しなければならない世の中で、思ったことを正直に言葉にできるだろうか?その人の実力を発…

サハラ砂漠の嵐

チュニジア・ドゥーズ。サハラ砂漠の入口の町の一つだ。砂漠の入口を気楽に散歩していたときのことである。突然、空が暗くなり、砂嵐が凄い勢いでやってきた。砂の低い丘にいた私は、しゃがむより他になかった。その間はたったの30秒くらいだったと思うが、…

人を選ぶこと

現在、スタッフを募集している。グリッドフレームは、当時所属していた会社の中で自費をつぎ込みながら、家を建てることができることを目的としたシステムパーツを開発している最中に、諸般の事情で立ち上げざるをえなかった会社だ。立ち上げざるをえなかっ…

心ここにあらず

一日の中で、何かに気を引かれると、ずっとそのことを考えてしまう。そんなタイプの人は多いだろう。私の場合は、子供の頃、くよくよするタイプとしてその気質が表れていた。失敗に弱かったのだ。その、先まで引っ張ってしまう性格を、クリエイティブな方向…

バランス

忙しくて不規則な生活が続くと、体のバランスが崩れてくる。荷物を右側に抱えて歩いていると、左足の筋にねじれたような痛みを感じ始めたことから始まった。あわてて、荷物を左側に持ちかえるとやがて痛みは治まった。一仕事終えて家に帰り、横になって天井…

できないこと

近頃、急成長中の陽向。私が歌を歌うとハモるようになるなど、いろんな手段でコミュニケーションがとれるようになってきた。楽しい。自分にできないことを認識すると、できるまでやる。例えば、歩き始めると部屋の中に越えられない段差があることを認識し、…

バルセロナパビリオン

1929年、ミース・ファンデルローエ設計。バルセロナ万博のドイツ館として建てられた。垂直と水平だけで成り立つシンプルな空間構成。しかし、素材の模様は過激ですらある。アルジェリアで切り出した大理石の模様が対称形に並べられて、女性の唇を思わせ…

映画 ポロック その2

ポロックは自殺にも近い車の暴走事故で44歳で亡くなる。もちろん、ひとりの人間が死を選ぶ理由は分からない。だが、映画の中での理由は想像はできる。彼は自分が開拓した技法をさらに発展させることができなかった。発展させることはできないまでも、試行…

映画 ポロック

ジャクソン・ポロックの絵画と出会ったときの新鮮さは記憶に新しい。だが、しばらくして、この絵画は本物だろうか、という疑問を持つにいたったことも、よく憶えている。映画でも、ポロックはそのことを自分に問い続ける。液状の絵具を画面に飛ばし続ける技…

人とのつながり

以前、「コージ苑」という4コマ漫画だったと思うが、こんな話があった。学生のA君はスプーン曲げの超能力を持つ。ある放課後の帰り道、想いを寄せる女子が悪漢たちに囲まれている場面に遭遇する。「よーし、オレの超能力で!」と意気込んで念じてみるが、手…

9月1日

夏休みが終わり、最初の登校日。宿題の工作を抱えて、2キロの道を歩く。つくったのは、エアコン(のつもり)。名前は「ゼネラルクーラー ワシワシ」。(この意味がわかる人は同世代以上だ。)クラスメイトがこの名前に爆笑した。なんてことはない。箱の中に…