gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

さらばネガティブな夢たち

40になってから、ぱったりと見なくなった夢がいくつかある。それまでは、同じような夢を数ヶ月に一度の割合で見た。中学校の夢。体育の授業があるのに、体操服を忘れてしまい、やばい、と思っている。いつも、やばい、と思っているだけで、その時間になら…

男と女

高瀬泰司さんの「いのちのせんたく」という本の中で、男は他人の身になって考えようとするが、女は考えるのを飛び越えて他人の身になってしまう、というようなことが書いてあった、と記憶している。女の人と空間づくりの仕事をしていると、しみじみその通り…

スペインの墓地

バルセロナ郊外の墓地を見に行った。ランドスケープ建築として有名だったからである。人里離れた、何もない平地が広がる場所に、ぽつんとその墓地はあった。コンクリートで土地に段差をつくり、斜面がグリッド状に分割されて、ひとりひとりのお墓になってい…

チュニジアの教会

地中海沿岸のつくりびと知らずの白い建物は、夏の日差しの中でまぶしいばかりだ。暑さで朦朧とした意識の中で、手づくりの建物が醸し出す人間の気配だけが心地よい。いいことばかりではなかったチュニジアの旅だったが、なんだかいやなことをここで忘れてし…

鼓動

妻に付き添って、病院へ行った。超音波で身長4センチの胎児を見た。心臓の鼓動が光の点滅のように映る。胎児は眠っているらしく、画面の中で動くものは心臓だけだ。静かな映像だった。粒子の粗い映像だが、それだけに何かとてつもなく古い映画を見ているよ…

ラテックスのカーテン

5年ほど前に購入したラテックス素材を1年前から事務所にカーテンとして使用している。初め1週間くらいは異臭を放っていたが、その後は気にならなくなった。ややハードな雰囲気だが、なかなか渋い素材。気に入ってます。

標準化について

つくる人間は誰しも「一」にこだわりたい、という気持ちを持っているだろう。同じものをいくつもつくりたいと考えているアーティストはいない。空間づくりは場所の条件がひとつひとつ違うから、ふつうにやればプロセスも結果も「一」にしかならない。だから…

頑張ってる人

最近、22時ごろ、外苑の周回道路へジョギングに出かける。当然、左回りする人と、右回りする人がいるが、ほとんど人によって決まっているようで、右回りの人はいつも右回りだ。ちなみに私は左回り。右回りの人とすれ違う場合、もしも、同じ速度で走ってい…

扉についた手すり

地下鉄半蔵門線の錦糸町駅の階段を手すりを伝って上っていくと、こんな扉にたどり着く。扉を開けると、その方向にも手すりが連続していれば、さぞ楽しいだろうと思う。こういう変なものは、想像力を刺激してくれる。

バッファロー

3年半を過ごしたバッファロー。かつては鉄工場で栄えたが、すっかり衰退してしまった町。映画「バッファロー66」のあの雰囲気は、バッファローの空気をリアルに伝えている。寒くて、パッとしない町。さびれたダウンタウン。町中がスクラップヤードのよう…

グリッドフレームの背景

グリッドフレームは、私がニューヨーク州バッファローの大学で考案したシステムパーツの名前に由来している。システムパーツといえば、ずいぶん立派なもののように聞こえるけれども、要するに、どんなものでも挟んで壁にしてしまうという2枚の格子板である…

都会のトンボ

会社へ向かう途中に、トンボを見かけた。力尽きた様子で、歩道の上で動かなくなっている。踏まれてしまいそうなので、指を差し出すと、すぐにつかまってくれた。すぐ横にあったバラの木に移して、記念撮影。君はシオカラトンボかな?どこで生まれて、ここま…

ビニールの窓

アラスカの小さな村では、小さなログハウスを一人で使わせてもらった。ある朝、窓を見ると霜が降りていた。驚いたのは、それが植物のような美しい模様になっているのだ。どうしてだろうと思って近づいてみると、ガラスだと思っていた窓は、実はビニールだっ…

一秒

同じ音楽でも、ラジオから流れてきたときと、自分でCDをかけたときとでは、違ったふうに聴こえる。ラジオから好きな曲が偶然流れてきたら、そのCDを持っていたとしても聴き入ってしまう。そんなことはないだろうか。それは、一秒の重みが違うからであろ…

強さと弱さを内在すること

グリッドフレームが手がけた作品には共通項がある。それは、強さと弱さを内在する不思議な存在感や、空気のゆがみのようなものを感じることだ。(meuble 2005 Summer)ずいぶん前になるが、雑誌にこのように書いていただいたことがある。素直に嬉しかった。身…

おばあちゃんと子供たち

ふたごの孫を連れたおばあちゃんと地下鉄のエレベーターで一緒になった。やんちゃな二人にさんざん振り回された後らしく、その表情は疲れ切っていた。エレベーター待ちのホールではしゃぐ二人に「静かにしなさい!」と多少キレ気味のおばあちゃん。孫の一人…

赤いオーロラ

私がアラスカで1ヶ月を過ごしたのは2月末から3月末までである。ユーコン河のほとりにある人口80人の村、スティーブンスビレッジは凍りついていた。毎日のようにオーロラを見ることができたが、村人にとってはもちろん日常的なものにすぎず、オーロラのこ…

夏至(=太陽が最も長く照りつける日)が過ぎて数週間経って、やっと夏が本番になる。つまり、夏が本番になる頃には、太陽はもう背中を向けている。地軸が傾いていることによって生じるこの事実は、人間に大きな心理的影響を与えてきただろう。例えば、夏と…

Katsukitchen

6月27日、赤羽にオープンしたスペイン風イタリア料理「カツキッチン」。ようやく本日、写真を撮ることができた。オープンキッチンを太陽と見立てて、それを中心として放射線状に広がるアーチフレーム。客席へ太陽の光が降り注ぐ。細いアーチフレームの線…

政治について

都議会議員選挙の投票日だった。結果は与党の惨敗。政治が、夢を持てない社会をつくった、というが、夢を持てるかどうかは個人の問題である。これだけ自由な社会があって、誰かが夢を持てば、わざわざそれを邪魔しようとするものはない。政治は夢をサポート…

城壁の上を渡り歩く

写真はトルコ・イスタンブールにある城跡。この城壁の上のギザギザの部分を私は幅跳びしながら渡り歩いた。ちょっと危ないことをしたかったのだ。警備の人に少し注意されたけれど、自己責任の世界である。うるさくは言ってこない。小雨の降る寒い日だった。…

小椋佳 渡良瀬を行けば

野を分けて風がゆくと ひとすじの河に似た跡 風を追い白々と続いているhttp://lyric.kget.jp/lyric/wt/ov/r/ 学生時代を終えて就職のために上京したとき、このような風景をどうしても見たくなって、自転車に乗って京都から中山道経由で東京に移動した。しか…

アルハンブラ宮殿

イスラム建築の幾何学への異常ともいえる執着には、「まいった」としか言葉がでない。このようにつくってくれと言われたら、まずどうやってつくるかを考えるのに何年か費やすことになりそうだ。にもかかわらず、アルハンブラ宮殿の印象は「複雑」ではない。…

眠れない悦び

どうやらスイッチが入ったらしい。眠っていても、空間のことを考えている。答えを求めるのだが、問題が明確にならない。夢とウツツの間で揺れ動くのは、混沌のように見えて、そうとも言い切れない、何かが生まれ出る可能性を秘めたイメージである。アメリカ…

高杉晋作

司馬遼太郎が「世に棲む日々」の中で高杉晋作のことを戦時に生まれなければ、ただの飲んだくれになっていただろう、みたいなことを書いていたと思う。時代が人をつくる部分というのは確かにあるだろう。しかし、彼の辞世の句「おもしろきこともなき世をおも…

ジョギングのときの呼吸

最近、外苑の周回道路をジョギングしている。昨年、鍼治療に通っていたら、先生が丹田呼吸を紹介してくださったので、走るときは丹田(へその6センチ下くらいにあるといわれている)に気を集中しながら走るように心がけている。丹田に気を集中すると、呼吸…

汚しうる美について2

「グロテスクなものを趣味とするのは、実はグロテスクな体験と本質的に無縁だからにすぎない。」柄谷行人「夢の世界」(「意味という病」に収録)「汚しうる美」というコンセプトを掲げたころ、周囲から上がった声は、汚しうる美というものが、要するに、「…

デンマークの犬

デンマークを歩いて旅行中、ある集落を通ったときのこと。赤い首輪をつけた犬が寄ってきて、そのまま私についてきた。うす茶色の雑種で、あどけない顔をした子犬だった。動物と一緒に旅行することにあこがれていた私は、彼との出会いを喜んだ。彼はその集落…

モンゴル人への憧れ

以前、モンゴルの草原を800キロ走った話を書いた。モンゴル人の世界観みたいなものに触れて、「モンゴル人のように生きたいと思った」と書いた。 http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20090416司馬遼太郎と陳舜臣の対談本の中で、モンゴル語の特徴について…

模型について

建築を学んでいるときは、ドローイングよりも模型に力を入れていた。大学で出される課題は、実際に建てられるものではないから、少しでも実際に近いものをつくりたいという思いがあった。だんだんと素材に興味が湧いてくると、実際の素材を模型に取り入れた…