gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2012.10

as a stranger

旅をするということは、strangerになるということだ。strangerという立場を心地よいと感じる人が、旅好きな人になる。strangerの自由は、誰もその人間の立ち位置を特定できないところからくる。strangerになれば、次にどのような振る舞いをしたとしても、誰…

好きな場所

「好きな場所はどこですか?」これは、私たちがクライアントに最初お会いしたときに必ず伺う質問だ。この質問の答えは、どんな空間をつくるか、を考える上でとても参考になる。 自分が答えるとすれば、「バルセロナの旧市街」と答えるだろう。でも、それは、…

夢はなんですか?と聞かれることがある。目的と呼ばず、夢と呼ぶのを、例えば、村上龍は否定する。だが、輪郭をぼかした夢というものを、漠然と持てるとすれば、それも大きな幸福だと思う。例えば、種をまく人は、漠然と広がっていく森を夢と呼ぶだろう。お…

ハロウィン

昨夕、陽向を保育園へ迎えに行くと、行き帰りの道で、ほとんどすべての子供がハロウィンの仮装をしていることに親としては大いにあせった。仮装していないのは陽向のみだったのだ。周囲の商店が仮装している子供にお菓子を配る、という催しをやっていたのを…

映画 シェルブールの雨傘

1964年。フランス。小学生の頃、映画雑誌に載っているカトリーヌ・ドヌーブの写真を見て、なんて綺麗な人だろう、と思った。映画は観ていなくとも、外国の映画女優といえば、彼女の顔と名前が浮かぶようになった。しかし、彼女の主演作品を観るのは、な…

hip-hop

今年度から中学校の体育の授業でダンスが必修化されたことを遅ればせながら知った。いくつかのダンスの中で、hip-hopダンスを採り入れた学校が最も多いらしい。ストリートの文化が、義務教育の中に入っていくことをまずはシンプルに歓迎したい。しかし、なに…

「もの」と「こと」

「もの」をつくる仕事をしていると、当然のことながら、場所が必要になる。もし、無際限に場所があれば、そこらじゅうの気になるものをスクラップヤードのように集めて、空間づくりに使いたいものを毎回そこから選び出す愉しみを享受するだろう。東京の真ん…

重量感

自分にしっくりくる重さや大きさがある。ものを扱うには、そこを大事にしたい。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

自分に同情するな

まだ子供がいない頃、ベビーカーを押している母親とすれ違ったりすると、ほとんどの場合全く避けないその人を見て、赤ん坊がまるで水戸黄門の印籠のように見えて、滑稽に思っていた。今、ベビーカーを押す立場になって、やはりいろいろと不自由なところを感…

点検

先日、自動車免許の更新に行って、講習の最初に診断テストを受けた。ひとつの項目以外は、全部適正のあるドライバーだ、ということだった。問題の項目は、車に乗る前に十分な点検をしない、ということ。現在の車なんて、仕事でスタッフも使っているから、点…

STUDIO COOCA

四谷三丁目でSTUDIO COOCAのギャラリー展示があった。STUDIO COOCAは、「知的・精神にハンディキャップを持った方たちが、その人のやりたいこと・得意なことで収入を得るために、自由で活発な創作活動を行える場所が必要だ」という考えのもとに設立された福…

映画 ランデブー

1985年、フランス。ジュリエット・ビノシュは私よりずっと年上だと思い込んでいたが、同じ年齢だそうだ。この人の表情には、決してたどり着くことのできない、秘めているものを感じる。子供向けの映画は似合わない人で、音のない中で長回しのシーンから…

予備校

予備校のエントランスの案件をいただいた。お話をうかがっていたら、自分が一浪の頃を思い出した。その一年間は、どこにも属していない、世間的には宙ぶらりんの時期とみなされる。だが、実は、宙ぶらりんな時期だからこそ、人間そのものが露出するときなの…

やさしい雨

地下鉄の出口を出ると、かすかに冷たい水滴を感じる。「あ〜めぇ」言葉を覚えたての陽向が、荷物を積んだベビーカーを一緒に押しながらうれしそうにつぶやいて、雨空を見上げる。まんまるな目で。それはやさしい雨だ。きっとこのシーンは私の大切な記憶のひ…

大学の同級生

大学の同級生ふたりと、実に久しぶりに飲んだ。大学は土木工学科だった。だから、同級生の多くは、役人・電力会社・ゼネコン・・・が多い。もちろん私は変り種で、変り種であることに居心地のよさを感じてきた人間でもある。だが、40代後半になれば、それぞれが…

長いものには巻かれろ

20年以上前に読んだジョージ秋山の『浮浪雲』がなぜか印象に残っている。何回か書いている78:22もこの漫画に書いてあったものだ。今度は、別の話を思い出した。確か「長いものには巻かれろ!」と書いてあった。なんとなく、不思議な共感を覚えた記憶が…

元町中華街

通りを曲がってこの景色を目の前に見たとき、陽向と観た「千と千尋の神隠し」かと思った。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

動物園の食堂

陽向を連れて、神戸の王子動物園へ行った。もちろん動物園へは動物を見に行くのが目的で、それについては大変満足した。入口をくぐってすぐにゾウの背中が見えると、陽向ならずとも私もわくわくしてしまう。広からず狭からずの、すばらしい動物園だと思う。…

神戸にて

今日の講演会は、Yさんという27歳と東北復興支援活動をしている学生二人が主催したものだ。Yさんは「今までいろいろな講演会を聴きにいったけれど、講演会の場はビジネスのパートナー探し的な要素が大きくて、本当に大切なことが語られていることはとて…

コペルニクス的転回

柄谷行人『トランスクリティーク』の中で、コペルニクス的転回について、重要なのは、地動説か天動説かではなく、コペルニクスが、地球や太陽を、経験的に観察される物とは別に、或る関係構造の項としてとらえたことである。と書いてある。現在は、地動説が…

趣味判断 メモ

カントは趣味判断を快・不快あるいは快適から区別している。快適は個別的であるが、趣味判断は普遍的であることを「要求」される。つまり、他人がその判断を受け入れるようなものでなければならない。(「トランスクリティーク」柄谷行人p.66)他人がその判断…

昼寝

外で昼寝。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

ベランダ

この季節の夜のベランダは気持ちがよい。煙草を吸わない私は、コーヒーカップを持ってベランダへ出る。イスに座って、目の前にある木々の上に覗く空を見上げる。黒い空を背景に、流れる灰色の雲。上空はきっと冷たい風が吹いているのだろう。面積の小さい空…

映画 オール・ザット・ジャズ

1979年。アメリカ。ショービジネスの大物振付師であるジョーのプレイボーイぶりがよい。麻薬を常用している生活は、いつしか彼の心臓を蝕み、病に倒れる。死をエンターテイメントとしてミュージカル仕立てに表現する、ということが当時新しかったのだろ…

講演@神戸

10月13日(土)に、神戸で講演をさせていただく機会をいただきました。グリッドフレームが未来の社会へ向けて何をしようとしているか、という話をさせていただいた後、東北の震災復興へ活動をしている神戸の学生たちと、セルフビルドで復興をしていく可能性を…

運動会

子供が生まれる前から、なんとなく怖れていたことがあった。それは保育園の運動会である。それは約20年前の私の姉夫婦の話にさかのぼる。姪が保育園児のころ、義兄は運動会に参加した。まだ、30歳前後の頃だ。義兄と姪がダンボールのキャタピラの中に入って…

無残の美

友川かずきの「無残の美」の歌詞を初めて読んだのは、京都「白樺」の客、片山さんがつくった同人誌に彼自身が書いた文章の中で紹介されたときだ。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−無残の美 詩を書いたくらいでは間に合わない淋しさが時として人間にはあるそこ…

映画 華氏911

2004年、米国。マイケル・ムーア監督。なぜ今頃、という感じだが、この映画を初めて観た。「金にまみれたブッシュがゴアに不正を使って勝って大統領にならなければ、911自体起こらなかったし、イラク戦争も起こらなかった」というムーア監督の見解を…

イスラム教

先日、旅行先のペルーで出会った人と久しぶりにお会いする機会があった。学生時代に始めたバックパッカーを社会人になっても続けているその人は、「生まれ変わったら、イスラム教徒になりたい」と言われる。「イスラム教が一番教義や戒律が厳しくて、宗教的…

ひげ

陽向を保育園へ迎えにいったら、5歳のユリアちゃんから「ヒナタ君のパパ?それとも、おじいちゃん?」と聞かれた。「パパだよ」と答えると、「え〜!パパなの?」と言われた。・・・へこんだ・・・。家へ帰って鏡を見た。10年位前から伸ばすようになったひげの…