gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

やさしい雨

地下鉄の出口を出ると、かすかに冷たい水滴を感じる。

「あ〜めぇ」

言葉を覚えたての陽向が、荷物を積んだベビーカーを一緒に押しながらうれしそうにつぶやいて、雨空を見上げる。まんまるな目で。

それはやさしい雨だ。

きっとこのシーンは私の大切な記憶のひとつとなって残されていくだろう。

永遠に?

私の記憶は私の死とともに死んだとしても、きっとこのやさしい雨は私を少しやさしくして、人への接し方を少し変えるだろう。

そうやって、有限の未来は、永遠に変わる。

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