2004年、米国。マイケル・ムーア監督。
なぜ今頃、という感じだが、この映画を初めて観た。
「金にまみれたブッシュがゴアに不正を使って勝って大統領にならなければ、911自体起こらなかったし、イラク戦争も起こらなかった」というムーア監督の見解を示すための映画だ、ということが改めて理解された。
ムーア監督は、のっけから確信に満ちている。ドキュメンタリーといいながらも、ある一定の見解をサポートするために、取材を行っているわけだから、この映画は理路整然としたプレゼンテーションである、といっていい。
結局、これほど明快なプレゼンテーションであり、大勢がこの映画を観たにもかかわらず、ブッシュはこの年の大統領選挙であっけなく再選してしまう。
固定票が多いため、選挙への影響力はほとんどなかった、とwikipediaにはあるが、内容が内容だけに、本当に固定票が多いからだとは思えない。
私は、ドキュメンタリー映画としての説得力に疑問を感じている。ドキュメンタリー映画は、ニュートラルであるべきである。ムーア監督のあまりにも強い確信が、選挙への影響をつくりだせなかったのではないか。
世界は、ブッシュの再選を望まなかっただろう。その意志をアメリカ本国へ波及できなかったことは、とても残念に思う。
ムーア監督は、「つくる」ということに対して、もっと謙虚な姿勢で臨むべきであったのだ。