gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

考察

標準化

太平洋戦争で、日米開戦時では勝っていた戦闘機の数と性能が、戦争が進むにつれて逆転していった大きな要因として、アメリカの戦闘機が徹底的に標準化されていたのに対し、日本のそれは一つ一つのネジまで違う工芸品に近いモノだったことが挙げられるそうだ…

規則と公平性

縛られる規則を減らしていくように生きていく。 ぼくの人生に関わる人も、規則に縛られない人生になるように協力していく。 例えば、元々金持ちと元々貧乏が同じ規則に基づいて扱われるのを公平と呼べるわけがない。 それぞれの状況に応じて、必要なものを与…

ドキュメンタリーにできないこと

山田太一の2015年の講演を観た。 東日本大震災があまりにも大きな災害であったために、ドラマをつくることが憚られて、ドキュメンタリー番組ばかりを観ていたときがあったらしい。 それぞれに感動しながら見続けたが、ある日かれはドキュメンタリーにあ…

死ぬまでにやりたいこと

あと何十年戦えるのか、いや、何年戦えるのか? 健康的には何ら問題はなく、体内年齢は実年齢マイナス15歳。このブログを書き始めた年よりも若い。 でも、そろそろ逆算を始めたとしてもおかしくはない。 ぼくが死ぬまでにやりたいことの焦点を次の3点に絞…

計算しない

計算をしない人に惹かれる人は、たぶんたくさんいるだろう。誰よりも勉強するが、混沌として、閉じることがない。過剰な何かがいつも溢れ出ている。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材によ…

分析

人を創造的にする力

世界を変えていこうとする意志を、ぼくは創造力と呼ぶ。そんな力を持つ人が少ない、と感じる。うまく、身をかわすように生きている人ばかりのような気もしている。そして、持つべきものを持たなければ、ぼくら自身もそうなってしまいかねない。創造力を失わ…

大小を言えるのは、外からだけだ

森敦の『意味の変容』に、内部/外部の境界は外部に属しているから、大小が言えるのは外部からのみで、そのときにどんなに小さく見えたとしても、その内部から見ると無限に大きい、とある。小さな組織にいると、これを実感することは多い。今日も、そんなこと…

詩の役割

ぼくは詩に親しんできたわけではない。宮沢賢治やランボーや、いくつかの詩集が家にあるけれど、読んだとは言い難い。けれど、ぼくが各プロジェクトに対して書くコンセプトストーリーは、詩のようなものになっている。論理的には結び付かないAとBとをぼん…

大きな組織ととりかえのきかない世界 2

グローバル資本主義が世界を均質化していく一方で、そこから必然的に出てくる排除された者たちが無差別テロ行為などによって反発する構図が、世界中に舞台を広げつつある。世界は今、不平等をつくらない自由競争があるのか、という根源的な問題を突き付けら…

大きな組織ととりかえのきかない世界 1

これまでの20年間のうち数年前までは、ぼくたちは主に、オーナーがそこに人生を賭けるような個人店をつくらせていただくことが多かった。「とりかえのきかない世界」をコンセプトにつくるアーティスト集団としては、ひとつの店舗をオーナーの分身のように捉…

あらゆる質的差異

路地にあったあらゆる質的差異(旧来の慣習、差別、特権など)を再開発によって、富の格差へ還元する。もう半世紀に亘って、その流れは続いていて、かつてあった路地は多くを失われてきた。今も再開発に大きな資本が流れており、そして、夢のようなコピーが…

とりかえのきく世界に流されないように

どのようなプロジェクトも大勢で進めようとすると、一般性(多数決)が勝利する。ほとんどの場合、快適・簡単・便利、という頭を使わない価値に流れていくことになる。低きに流れる、とはこういうことだ。歯止めをかけるために、「核」を設ける必要がある。…

守る

ぼくらは、根源的に何を目標に生きているのか、と考えると、「守る」という答えに行きつく。これは生物全体に共通することだろう。物理的にも、精神的にも、守る。いきるために必要な何かへ複数が手を伸ばすときに、争いが生じる。守るための攻撃が始まる。…

店舗という歴史をつくる 2

現在、美容室も飲食店も、新規出店から5周年を迎えられるお店はわずか20%だそうですが、私たちのつくらせていただいたお店は、長く続くお店が著しく多い、という結果が出ています。ぼくらは創業21年目になりますが、美容室・飲食店ともにそれぞれ数十…

店舗という歴史をつくる 1

ぼくは、ひとり旅が好きで、20代の半分は海外で過ごしていました。アフリカでも、ヨーロッパでも、南米でも、アジアでも、店舗はその国の文化を最もよく表す場でした。商品、サービス、スタッフ、カスタマー、空間のどれをとっても発見に満ちていて、生命の…

とりかえのきく世界、きかない世界 3

ぼくらは、全く反対の性質を持つこれら2つの世界を同時に生きていて、それらを行ったり来たりしている。だから、ぼくらは、だれもがある程度二重人格的だ。そして、2つの世界は、互いに論理的に閉じているため、どちらか一つの世界に偏った人同士では、お互…

とりかえのきく世界、きかない世界 2

一方で、ぼくらは自分をとりかえのきかない存在として大地に繋ぎ止める必要がある。とりかえのきく存在としてのみでは、魂の拠り所を失って、根無し草のように宙をさまよってしまう。 魂の拠り所としての<とりかえのきかない世界>には、次のような特徴があ…

とりかえのきく世界、きかない世界 1

ぼくらは、世の中が加速度的に快適、簡単、便利になっていくのを日々目の当たりにしている。グローバルな資本主義は、世界を均一化する方向へぐいぐい牽引していて、だんだんどこにいても変わらない生活ができるようになってきている。30年以上前にぼくが東…

とりかえがきかない

とりかえ自由な社会の、たくさんの人間の中に紛れたいというときがある。その方が安全で、心が休まるからだ。そして、そこで何を考えていようが自由だからだ。つまり、内面は「とりかえがきかない自分」でいたいと思いさえすれば、そうなれる。 (つづく)

愛国心と国家主義

柄谷行人によると、カントは国家主義nationalismという妄想を根絶すべきものとして、それに対抗するものを世界市民主義cosmopolitismと愛国心patriotismとしたそうだ。なんだって?国家主義と愛国心は同じじゃないのか?柄谷自身そう思ったそうだが、ぼくは…

中間勢力

ジェーン・ジェイコブズ

多様性の中に暮らすことを、都市生活の目標とした人だ。以下、それを生成するための4条件を引用する。 都市の街路や地区で,溢れんばかりの多様性を生成するためには,4つの条件が必要不可欠である。1. 地区,そして,地区内部の可能な限り多くの場所におい…

ぼくらがかたちづくるもの

ぼくらがかたちづくるものは、きっとそれができあがったときはまだ、とりかえ自由なものにすぎないだろう。だが、時を経て、とりかえのきかないものに変わる可能性を持っている。 ありふれたもの、かたちづくるもの、外部からもってきたもの。その3つで、未…

普遍とはどこにあるか

死んでいる時間

陽向と学校へ向かうのは、相変わらずギリギリの時間だ。ランドセルを後ろから押しながら、「急げ、急げ」と歩く。陽向にとっては、なんとかやり過ごそうとする時間に過ぎなく、なくてもいい時間だ。いわば、死んでいる時間だ。生きているのに、もったいない…

目的と手段

人を目的として見るか、手段として見るか。もちろん、その両方で見て生きるのが現実だが、目的として見ることの割合が大きいほど、幸福感は大きい。世界を目的として見るか、手段として見るか。目的を見いだせたことこそが大きな幸福だ。 ← 創造性の連鎖でつ…

アクシデント

何かをつくるうえで、アクシデントにぶつかるのは、不運であると同時に、幸運だ。積極的に、その効果を吟味する。それが、なるの空間を成立させるきっかけになる。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリ…

隙があること

隙をつくることで、世界は固定されなくなる。境界があいまいになり、たとえば、シリアスな世界に笑いが混じり込む。1970年代に流行った歌を聴くと、暗い曲は、単に暗いものが多い。他の空気が入り込む余地がない。だが、時代はだんだん隙をつくることを学び…

とりかえ自由な世界ととりかえのきかない世界

この二つの世界の境界がどこにあるのか、を正確に知ることは容易ではない。また、大事なことは、人は、常にどちらの世界にも属しているし、そのバランスをとることがうまい人が居心地よく生きていける人だ、という事実だ。世界をどちらかに固定しないことが…