gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

神戸にて

今日の講演会は、Yさんという27歳と東北復興支援活動をしている学生二人が主催したものだ。

Yさんは「今までいろいろな講演会を聴きにいったけれど、講演会の場はビジネスのパートナー探し的な要素が大きくて、本当に大切なことが語られていることはとても少ないと感じていた」とおっしゃる。

8月の梅田での私の講演に「大切なこと」があると直感して後輩たちにも話してほしい、と思っていただいたとのこと。こんなに光栄なことはない。

講演会を開くための費用は、すべてYさんが負担。「金は、生き金として使いたい」と。

それだけの価値があったかどうか、私にはわからない。だが、正直に、そしてどのように語れば聴いてくださった方々に後々まで言葉が残るか、を念頭に、語らせていただいた。

聴いてくださったほとんどの方が20代だったように思う。私が20代のときに人が語ってくれた言葉のうち、一体どれくらいが今の自分に残っているだろうか、と考えるとき、残念ながら残っている言葉は、決して多くはない。

だが、そのときには理解できなかった言葉のいくつかが私の中のどこかにひっかかり、それから20数年を経て、あるとき、ストンと腑に落ちる、ということが、今の私をかたちづくっている。

薬師寺の修復をした宮大工は、屋根の先端が時の経過とともに下がってきて、300年後に最も美しいかたちを見ることができるだろう、と言ったそうだ。

Yさんの想いも、学生たちの想いも、私の想いも、そして、すべての人の想いも、そんなかたちで自分のあずかり知らぬ未来に花を咲かせることがないと、誰が言えよう。

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