gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

意味の変容

境界は外部に属する

内部とは何か? 内部とは「心」なのか?柄谷行人であれば、内部とは「単独性」だというだろうか?ならば、心といっても、削り出された後に残った、もうこれ以上は削れない、個人の核のようなものだといっていいだろう。そして、外部とは「普遍性」ということ…

外部から見たとき

「意味の変容」という本は、「内部と外部が分かたれたとき、その境界は外部に属する」という前提を立てている。ぼくは、何十回もこの本を読み返したにも関わらず、境界が外部に属することの意味を深く考えてこなかった。境界は外部に属するから、ある対象に…

化学反応

ひとつのことを集中して考えることで、突然の化学反応が起きて、別の場所へ移動できることがある。森敦『意味の変容』は、その作用がどのようなものであるか、を追究するための本ではないだろうか。別の場所へ移動できるときの高揚感を思うと、それはひとつ…

意味の変容 メモ 2

「境界こそは内部外部の変換の鑰(かぎ)であり、変換こそは認識の鑰である。」(森敦『意味の変容』p.7)ある思いを文章に変換したり、その文章を空間に変換したり、ある世界を別の世界に移す「変換」という作業を、私たちは創造と呼んでいるだろう。創造(…

意味の変容 メモ

自ら「毒を持つ」と声高に語る者がいる。だが、その毒は「毒のようなもの」に過ぎず、本当の毒ではありえない。なぜなら、本当の毒は必ず、その反対概念とともに在り、一方を声高に語ることなどできない類いのものであるからだ。一方を意識してしまえば、たちま…

1.25倍のレンズ

森敦『意味の変容』の中で、私たちの生きる世界を両目を開いて照準眼鏡を覗いた状態に例えてこう言っている。外部の実現が内部の現実と接続するとき、これをリアリズムというだが、照準眼鏡のレンズは実は倍率1倍のレンズではなく、倍率1.25倍が使用さ…

内部は境界を含まない

森敦は「意味の変容」の中で、内部・外部の境界は、もっぱら外部に含まれていて、内部は境界を含まない、としている。だから、例えば、会社の大小は、外部からのみ言えることであって、内部から見れば、どの世界も無限である、と書いてある。小さな会社をや…

矛盾は必ず無矛盾であろうとする方向を持つ

私がかつて裏通りの壁に「汚しうる美」を見い出したとき、私はその場所へまた次の日も通ってみた。前日のようには、美しいと思うことはできなかっただろう。というより、醜いと思ったかもしれない。「汚しうる美」は、常に美しいものではない。なぜなら、汚し…

現実と実現

死とはなにものでもなくなることではなく、すくなくともなんぴとかにとって、現実としてあったものが、実現と呼ばれるところのものになることだ、とあの人は言っていた。(「意味の変容」p.102)今日、現実として起こった出来事のひとつひとつが、遠い未来に…

神の存在

神に敵する者に悪腫もて打たせながら、われとわが肉をわが歯に噛ませぬのが、神だといおうとしたんじゃなかったかね。(森敦「意味の変容」p.58)つまり、森敦は、大きな苦しみを与えつつ、死ぬという選択肢も採らせず、生かし続けるのが神だ、と言っている。…

土木工事の現場にて

ゼネコンに入社すると、まもなく鉄道の高架橋の現場に配属され、現場監督として働くことになった。職人さんは新人の自分に対してずいぶんよくしてくれた。職人さんを指示するというよりは、職人さんに教えてもらう毎日だった。しかし、一月ほど過ぎると、職…

壮麗なるに似た蛇

年に2度か、3度は、森敦の「意味の変容」を読みたくなる。半年くらい前に、この本に絡めて、グリッドフレームという会社を立ち上げるまでをブログに書こうとしたが、途中で断念していた。この本の言わんとしていることが、よく分からなくなってきたからだ。…

森敦 「意味の変容」6

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20090923/1253714793帰国後、いよいよ本格的にシステムパーツを開発し、商品化を目指して動き始めた。とはいっても、約4年ぶりに復帰したゼネコンの周囲の状況は、行く前とは激変していて、いわゆる「ゼネコン不況」の真…

森敦 「意味の変容」5

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20090915/1253031437私に言えることは、すべての人に当てはまる、と考えていた私は、「すべての人はクリエイティブでありたい、という願望を持っている」と考えるようになった。そのような考えから、自分で家を建てるため…

森敦 「意味の変容」4

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20090912/1252767921なぜそれをつくるのか?つくるものの意味に関わりたい。そのような気持ちから、建築のコンセプトづくりを学びにニューヨーク州立大学へ留学した。与えられたプロジェクトの条件を、考えられる限り多面…

森敦 「意味の変容」3

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20090903/1251990735意味に関わりたい、という願望。私は、大学で土木工学を学び、ゼネコンへ就職した。橋をつくる現場で現場監督をしながら学んだことは、「エンジニアとして生きる限り、何をつくるか、という意味に関係…

森敦 「意味の変容」2

http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20090826/1251309844いかなるものも、まずその意味を取り去らねば対応するものとすることができない。対応するものとすることができなければ構造することができず、構造することができなければ、いかなるものもその意味を…

森敦 「意味の変容」1

森敦の「意味の変容」は、私が人生の中で最も読み返した回数の多い本である。おそらく50回は読んでいる。一つの理由としては、字が大きく、ページ数が少ないということがある。そうでなければ、こんなにも多く読み返すことはできなかったであろう。初めて…