JR東日本の採用広告のコピーである。
技術革新やサービス向上によって、「すごい」と思われていることを、ふつうのこと、あたりまえのこと、にしていこう、という企業姿勢を表している言葉だということはわかる。
しかし、「すごい」ということが無限にどんどん生まれるわけではない。むしろ実現したい夢を持つために、私たち一人一人が努力を求められているような時代だ。
「すごい」ということを、次々に「ふつう」に変えてきた20世紀を越えて、今私たちは生きている。では、それによって、私たちは幸せになったか?
世紀末はいつも次の世紀への夢が湧き出してくるときだ。19世紀末に描かれた夢のほぼ全てが、20世紀のうちにかなえられた。だが、20世紀末はどうだったろう?もう、夢自体が描けなくなっていることに誰もが愕然としなかっただろうか。
答えを出す以前に、問いを見つけることの方が重要な時代である。問いを見つけることは、決して容易ではない。
「あしたのふつう」は、もういらない。「きのうのすごい」といわれても、なんのことだろう、と思う。今日も、私たちは「すごい」を探してさまよっているのだ。