gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

貧しさについて

私は30歳までに30近い数の国を訪れたが、その大半は経済的に貧しい国だった。どの国も驚くほど不便なことがたくさんあったけれど、だからこそたくさんの貴重な経験ができた。言葉の通じない国で多くを経験するためには、普通に過ごすことさえ不便であることが必要だった。私は、数々の不便をワクワクしながら引き受けた。

だから、貧しい国の不便さについては、なんとも思わない。むしろ、好ましくさえある。

だが、貧しさが度を超すと、例えば、今日の食べ物がない、という状態になると、話は変わってくる。そのような状態の中で、明日は今日よりも悪くなる、と考えるとき、人心は荒み、町はどんよりとした雰囲気を醸し出す。そして、いたるところに危険が潜むのが察知されるようになる。そのような状況の国もいくつか体験した。

しかし、そのような国々は、私が訪れてから10数年経って、状況は少なくとも悪化はしていないようである。どん底を経験した人々は何かを掴めるのかもしれない。