gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

人を選ぶこと

現在、スタッフを募集している。

グリッドフレームは、当時所属していた会社の中で自費をつぎ込みながら、家を建てることができることを目的としたシステムパーツを開発している最中に、諸般の事情で立ち上げざるをえなかった会社だ。

立ち上げざるをえなかった、と言っても希望に溢れていた。未来は広角に開いていた。それは、つまり、何を商品として、だれに、どのように売っていくか、が何も決まっていなかった、というおそらくは、誰もが「バカ」と呼ぶであろう状況での船出であったことの裏返しに過ぎない。

だが、結果から見て、そのような状況は決して「バカ」にはできない。人間としての本質に迫るような経験が、その時期に凝縮されているからである。

人との出会いにも、不思議な力が作用していた。S君・U君・N君は今はもうこの会社にはいないが、空から降ってきたように目の前に現れた。U君などは、事務所の前を通りがかって、いきなり「この会社の社員にしてください」と言ってきたくらいだ。そして、それぞれが自分の存在を賭けて自分の頭で考えて動き、この会社の基礎を築く役割を担って、やがて去っていった。

私は人を選んでいない。人に出会っただけだ。そして、同じ方向を向いて、歩いただけだ。

会社の体を成してくるとそのような出会いが難しくなる。空白のポジションがハッキリと見えてくるからである。そのポジションを埋めるための人事採用を考えなければならなくなる。

人の属性に目を向けざるをえなくなる。性別・年齢・学歴・職歴・資格・性格・・・。それらを分析して、この人だったら、このポジションにすっぽりとハマるはずだ、と予想して、採用を決める。つまり、人を選ぶ。

属性で人を見ることは、その人そのものを「かけがえのない存在」として見ることではない。取り替えのきく存在として見ることだ。本来、人間はそのような存在として見ることができないし、もちろん見てはならない。

会社は、常に、システムを固定化しようとする方向性と、流動化しようとする方向性とのせめぎ合いの中で存在しなければならない。人を選びつつ、同時に、人を選ばない(天に任せる)、という目が要求される。

現在のスタッフたちも全員が「かけがえのない存在」としてある。

グリッドフレームのHPへ ← グリッドフレームのHPはこちらです

人気ブログランキングへ ← ランキングに参加しています クリックありがとうございます