昨日、一般にアメリカ映画ではストーリーの背景が固定されていると書いた。よって、わかりやすい映画になるし、安心して観ることができる。
一方、どちらかといえば、ヨーロッパ映画はストーリーの背景さえも揺らぐ。だから、捉えがたいところがあるし、完全に安心して観ることができない。しかし、リアルである。
そこが好き嫌いの分かれるところであろう。
マーケティング重視の映画づくりであれば、アメリカ映画のようになるのが自然だ。条件を決定し、その条件を満たすように制作が進められるのだろう。計画は綿密に立てられ、一般に予算は大きい。
ヨーロッパで評価されるのは、撮影を進めながら映画全体を変えていくような、つくりながら考えるタイプの映画だ。ロードムービーなど、8ミリを片手に撮るような映画づくりで、一般に予算は少なくてもつくれる映画だ。
空間の好き嫌いも同じところで好き嫌いが分かれる。
私たちグリッドフレームは、ヨーロッパ映画的なリアルな空間を目指している。よって、予算は少なくてもつくれるはずであった。
しかし、アメリカ映画的なつくり方でのコストがぎりぎりまで削られている今日、コストメリットは出にくくなっている。
空間づくりの世界が内容的に貧しい世界にならないように、もっと言えば、この停滞した世界に夢を与えていくように、現在の私たちの使命は大きいと考えている。