以前、「コージ苑」という4コマ漫画だったと思うが、こんな話があった。
学生のA君はスプーン曲げの超能力を持つ。ある放課後の帰り道、想いを寄せる女子が悪漢たちに囲まれている場面に遭遇する。「よーし、オレの超能力で!」と意気込んで念じてみるが、手元のスプーンが曲がるだけで、A君はただ涙を流す。
笑える漫画だがリアルである。その証拠に私は25年前に読んだ漫画を今でも克明に憶えている。
私たちはそれぞれの道で一流をめざして努力をしているが、格闘技の道にでも進まない限り、このような場面でその成果を発揮することはできない。
誰かがある道を極めても、その人の隣にいる人を幸せにはできない。私はこの漫画の意味をこう解釈した。
例えば、悟りをひらくことを目的に、考え抜くことには意味があるだろうか。たぶん、ない。なぜなら、そのことは隣にいる人にはなんの関係もないことだからだ。
目的は、自分以外の人を幸せにすることにあるだろう。きっと、生きる意味は人とつながることにある。