gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

強さと弱さを内在すること

グリッドフレームが手がけた作品には共通項がある。それは、強さと弱さを内在する不思議な存在感や、空気のゆがみのようなものを感じることだ。(meuble 2005 Summer)

ずいぶん前になるが、雑誌にこのように書いていただいたことがある。素直に嬉しかった。

身の周りを眺めてみると、大量生産品で溢れているだろう。それらは、強いか、弱いか、どちらかに明確に属するものではないだろうか。強さと弱さを内在するもの、二つの間を揺れ動くものは見当たらない。空気のゆがみを感じさせるものもない。

なぜなら、大量生産品にするにあたって、改良を重ねていくうちに、それらはすべて削ぎ落とされてしまったものの中に含まれるからである。

そのような繊細な部分に目を向けてくだって、そこに価値を見い出してくださる方がいらっしゃるということに、ずいぶん励まされた記憶がある。

私たちは、世の中における普通の営みの中では、無条件に削ぎ落とされてしまうようなことに、すべての可能性を見い出そうとしている集団なのだから。