つくる人間は誰しも「一」にこだわりたい、という気持ちを持っているだろう。同じものをいくつもつくりたいと考えているアーティストはいない。
空間づくりは場所の条件がひとつひとつ違うから、ふつうにやればプロセスも結果も「一」にしかならない。だから、通常、そのことで悩むことは少ない。
しかし、空間づくりの仕事にも大量生産品的なアプローチを求められることがある。チェーン展開のお店などはそのひとつである。
クライアントがはなから空間の標準化を望んでいる場合は、「一」にこだわる私たちの出る幕はない。だが、チェーン展開のお店でも「一」にこだわりたいというクライアントが増えている。
もちろん、0か100かという極端な話など世の中には存在しない。私たちだって、日々、作業効率のアップなどについて考えているし、つくりの標準化が必要な部分はたくさんある。それがあって、初めてこだわる部分に魂を込められる環境が整う。
標準化に対して、私たちはポジティブである。なにせ、私たちはグリッドフレームというシステムパーツの会社から始まっているのだから。
私たちにとって、標準化とは、「一」にこだわるものづくりのためにある。