バルセロナ郊外の墓地を見に行った。ランドスケープ建築として有名だったからである。
人里離れた、何もない平地が広がる場所に、ぽつんとその墓地はあった。
コンクリートで土地に段差をつくり、斜面がグリッド状に分割されて、ひとりひとりのお墓になっていた。
活けられた花は、どれも新しく美しかった。こんなにさびしい場所なのに、どの家族もたびたび訪れるのだろうか。
お墓はプライベートな場所のような気がしてしまう。ましてや、外国人である私は、入ってはいけないところへ入ってきたような気持になる。「すみません。私は建築を見に来ました。」
土に還る、という感覚を垂直的でなく水平的に感じるこの場所は、死者がまだ同じ世界のどこかにいるような気持ちにさせるのではないか。死というよりは不在の感覚にさせるのではないか。
それは、残された者の悲しみをやわらげることかもしれないし、また、残された者が次へ進むのをためらわせることかもしれない。