妻に付き添って、病院へ行った。超音波で身長4センチの胎児を見た。心臓の鼓動が光の点滅のように映る。胎児は眠っているらしく、画面の中で動くものは心臓だけだ。
静かな映像だった。
粒子の粗い映像だが、それだけに何かとてつもなく古い映画を見ているようで、周囲の音や風景が消えたように感じた。私は不思議な気持ちでそれを眺めていた。
これから1世紀近くも、その心臓は光の点滅を繰り返すのかもしれない。私たちがいなくなっても、ずっと点滅し続けるのかもしれない。
光の点滅のリレーを今、暗闇に灯りを一つ点けて静かに想像している。この想いを、人は祈りと呼ぶのかもしれない。