gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

小椋佳 渡良瀬を行けば

野を分けて風がゆくと
ひとすじの河に似た跡
風を追い白々と続いている

http://lyric.kget.jp/lyric/wt/ov/r/


学生時代を終えて就職のために上京したとき、このような風景をどうしても見たくなって、自転車に乗って京都から中山道経由で東京に移動した。

しかし、そのようなやわらかな草原はどこにも見ることはできず、風の道は未だに見たことがない。

小椋佳も想像の中でつくった曲かもしれない。

モンゴルの草原も、サハラ砂漠も、どこでも道になりうるという自由の現前に言葉を失った。

しかし、風がその都度、違う道をあらわにしてくれるこの想像の風景は秘密めいていて、そして同じ風が二度吹かない限りは一度きりの道であるという事実が風が止むと完全に消えてしまうはかなさを感じさせる。

むしろ、人間の不自由を愛したい気持ちがわいてくる。