gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

赤いオーロラ

私がアラスカで1ヶ月を過ごしたのは2月末から3月末までである。ユーコン河のほとりにある人口80人の村、スティーブンスビレッジは凍りついていた。

毎日のようにオーロラを見ることができたが、村人にとってはもちろん日常的なものにすぎず、オーロラのことが話題に上ることはほとんどなかった。しかし、赤いオーロラが出た次の日は、たくさんの人がそのことを話題にしていた。きっと、彼らにとっても珍しいくらいの美しいオーロラだったのだろう。

凍りついたユーコン河の上に立って、その日も私は空を一人占めしていた。地平線より少し上から中くらいの高さまで、360度オーロラのカーテンがかかった。

私は雪の上にばったり倒れ、仰向けになって、空全体を見上げた。心ゆくまで。耳たぶが凍るまで。