gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

城壁の上を渡り歩く

写真はトルコ・イスタンブールにある城跡。この城壁の上のギザギザの部分を私は幅跳びしながら渡り歩いた。ちょっと危ないことをしたかったのだ。警備の人に少し注意されたけれど、自己責任の世界である。うるさくは言ってこない。

小雨の降る寒い日だった。私の泊まっていたロッジには暖房がなくて、部屋の中では毛布にくるまってジッとしているしかなかった。寒さからの逃げ場がない環境がどんなにつらいか、が身に沁みた。ロッジから逃げ出して、温かいスープを体に入れて、それからここへやってきた。

この城跡を出る頃には体が暖まっていた。

英語が通じなかった。もちろん、日本語も通じなかった。そのとき、司馬遼太郎「風神の門」の文庫を読んでいた。その中で、猿飛佐助が「拙者は猿飛でござる」などと武家言葉で話していた。どうせ通じないのなら、と人に何か話しかけられたら、武家言葉で返すことに決めた。「拙者は○○でござる」などと真顔で自己紹介してみた。ちょっとドキドキした。相手にはもちろん通じないし、相手の言うことも全くわからなかったが、私のテンションだけはちょっと高くなった。