gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2012.1

ない。ならば、つくろう。

GFの家具の第1号が完成した。14年に亘って店舗をつくってきた中で、例えば、椅子などは数が多く、すべてを弊社で制作するには時間が足りないことなどを理由に、既存の商品から選ぶことが多かった。選ぶにあたっては最善を尽くしてきたつもりだが、どう…

革命の後

革命後のリビアで、カダフィ支持者が刑務所に入れられ、拷問にあっているというニュースがあった。短期間で力が逆転すると、このようなことが当たり前のように起こってしまう。人間はいつの時代も愚かだ。日和見的に生きる人が得をするような社会は、いつ変…

モノクロムの風景

デンマークの北方の海辺。空・太陽・海・浜辺。目の前にはその4つしかない。そのうえ、色がない。いや、よく見るとほのかに太陽の光が赤みがかっているか。そのくらいの、シンプルな世界。目的もなくデンマーク人の教授を訪ねたら、彼がここへ連れてきてく…

木の名前

マンションの裏庭の手入れに伴って、植えられている木々の名前のリストが全世帯に配られた。粋である。日頃、それらの木々を眺めるのが好きな私には貴重な資料になった。目の前にアカガシの大木がある。これは、真冬の今も緑の葉をたくさんつけて揺らしてい…

ピンボケ陽向

陽向のピンボケの写真を見ていて思う、ピンボケの効果。1.物事について深く考えているように見える。 →実際はスナック菓子をくれ、と主張している。2.ゆったりと静かな時間が流れているように見える。 →実際ははやくくれ、と主張している。3.どこか素…

映画 告白 (1981年・アメリカ)

今までに言葉を変えて何度か書いたが、映画の中に極度にシンプルな人間を入れると、リアリティが失われる。じっと観察したとき、“いわゆる”という人間などいない。誰もが揺れ動いている。人間とは、揺れ動く生き物なのだ。揺れ動く人間ばかりを描いては、ス…

病のイメージ

数日前の徹夜が祟って、久しぶりに体調を崩した。それで、いつもより早く床に就いて眠ったが、どうも眠りが浅い。どのような格好をしても、なにか違う気がする。実際には、一枚の布団が普通に掛けられているだけなのだが、左を向けば左を押さえつけられてい…

自覚症状なし

20歳の頃、アフリカの旅から帰ってたら、すぐにA型肝炎を発病した。即刻、大学病院に入院。初日のベッドに、「アフリカからこの青年は何を持って帰ってきたのだろう?」と興味津々な顔をして、たくさんの医者がやってきた。やがて、ただのA型肝炎だとい…

ウルトラマンとスペシウム光線

これから私は自分をウルトラマンに例えるが、それは願望の表れであって決して同一視しているわけではないので、今回だけお許し願いたい。ここでのタイトルを「アンパンマンとアンパンチ」と書き変えてもほぼ同じ話が書けるだろうが、アンパンマンはよい人過…

SFアニメとドバイ

SFアニメをテーマに内装を考えていくと、意外なことにイスラム的な空気感に到達する。おそらくは、二つのものは、壮大なテーマと、生活感(ビジネス的なところ)が融合する空間としての共通点を持つからであろう。見よ、ドバイのホテル(バージュ・アル・…

私が子供の頃と比べて

小田急線に乗っていて、ケーブルテレビの広告で「ひとりひとりが、見たいものを、見たいときに、見られる」というコピーをぼんやり眺めた。その広告を見て、最初に思ったことは、子供の頃、水曜ロードショーで『シェーン』を放映するのに、何週間も前からC…

機動戦士ガンダム

必要があって、機動戦士ガンダムについて、本でにわか勉強した。漫画がたくさん描かれた、外で読むにはちょっと勇気がいる本だ。アムロやシャアという名前は知っていた。柔道部の同級生にドムと呼ばれていた者がいて、それがガンダムに出てくるモビルスーツ…

指紋

青山オフィスには、鉄板の壁がある。その片隅に、元スタッフの指紋のかたちで錆びている部分がある。指紋が付いたのは、もちろん失敗だった。つくった数ヵ月後に浮き出てきたときの、がっかりした彼の顔を思い出す。だが、彼がこの会社からいなくなった今、…

なまけもの

建築学科の学生のときは、設計のアイディアを練るときはよく机の周りをうろうろ歩きまわっていた。アイディアとは、突然降ってくるようなものなので、降ってきやすい状況を自分でつくっているのだ。場所を移動することによって、五感に入ってくる刺激を変え…

児童公園

メレンゲのunderworldという曲に懐かしい場所へ 帰ってきた 意味もなく立ち寄った公園そこは ブランコと滑り台だけ どこにでもある公園という歌詞が出てくる。その通り、児童公園とは子供の頃に育った懐かしい場所の象徴的な存在だ。だが、これだけいろいろ…

京都を歩く

久しぶりに京都で過ごした一日。学生時代、日常の中で歩いていた道をたどったら、いつのまにか20キロ以上を歩いたようだ。このような旅には、高感度の携帯カメラが便利だ。 ↑哲学の道 ↑法然院 藁葺の苔 ↑法然院 白砂壇(びゃくさだん) ↑法然院 庭木 ↑銀閣…

古いもの

現在の三条大橋は豊臣秀吉の頃につくられて以来、流されるたびに改修を繰り返した姿だそうだ。今でも、一部は最初の頃のものがそのまま残っているらしい。このように古いものに対しては、敬意を表する必要がある。なぜなら、その長い間壊されることなく残さ…

京都

6年間学生生活を送った京都へやってきた。現在、7:00am。目的はバー「白樺」だ。http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20091009/最後に来たのは15年くらい前になるだろうか。オープンする19:00まで、12時間ある。どのように過ごそうか。必ず行き…

13日の金曜日

今日は13日の金曜日。子供の頃の国民的ドラマ『太陽にほえろ!』では、松田優作のジーパン刑事をはじめ、数々の若手刑事が、13日の金曜日に殉職した。これらが影響したのか、私は10代の頃、キリスト教徒でもないのに13日の金曜日を怖れていた。その…

珈琲

コーヒーを「珈琲」と書きたくなる環境がある。天気が良くて空気が澄み渡る海辺の朝。シンプルな和風の建物の2階にその喫茶店はあった。大きな窓から燦々と降る光。ほら、足元にカメラを向ければ、ここで飲む「珈琲」がどんなにウマいかが分かるでしょ・・・。…

映画 天国の口、終りの楽園

2001年、メキシコ。10代の青年2人と美しい大人の女性が、本当にあるかどうかもわからない「天国の口」という名前のビーチへ旅をする。青年2人のお気楽でバカバカしい快楽的な生活の背後には、メキシコの厳しい現実がしっかりと描かれている。反政府…

静かに笑っている

この季節にバッファローのダウンタウンへ行くのはきらいじゃない。こんな建物は、静かに笑っている。まるで、死者の側にいるかのように。お墓に行くのが平気だったら、バッファローのダウンタウンを歩くのもきっと平気だ。 ← グリッドフレームのHPはこちらで…

「いらない。だから、いる。」の論理

「いらない。だから、いる。」と誰かが言ったとすれば明らかに矛盾だ。しかし、空間を設計する中では、このような思考がしっくりくることが多い。例えば、屋外の影響をできるだけ受けたくない屋内空間をつくるとしたら、必要最小限の窓しか設けないことを考…

全幅の信頼

陽向は、1歳10カ月を過ぎた。例えば、彼が椅子から降りようとするとき、一人でいるときは十分すぎるくらいに慎重に、後ろ向きになって片足ずつ降ろしている。しかし、そのとき私が横にいると、椅子の上に立ち上って、私に向かって突然ダイブしてくる。私がよ…

松島海岸・野蒜・石巻 5

↑石巻・羽黒山からの展望。この展望台は、震災後たくさんの人が訪れるようになった。震災前の展望と比較しようとネットで写真を探すが、一向に見つからない。そのくらい、なんてことない平凡な町の風景だったのだ。私だって、震災がなければ、ここに立つこと…

松島海岸・野蒜・石巻 4

↑総合病院横の薬局。下水管が壊れて、川の水が逆流し池ができた。 ↑水産工場から流れてきて、道の真ん中で止まったタンク。このままの状態で保存されることが検討されているという。 ↑タンクのすぐ近くの倉庫。 ↑パチンコ店。店員が避難を呼びかけたところ、…

松島海岸・野蒜・石巻 3

↑なぎ倒されたままの墓石 ↑平地にぽつんと残された住宅 ↑海の底から引き揚げられた自動車 ↑屋上付近の青い階段まで波は届いたそうだ ↑2階まで津波を受け、閉鎖された総合病院。写っている丸太は1キロほど離れた製紙工場から大量に流れてきたうちの一本であ…

松島海岸・野蒜・石巻 2

矢本駅から石巻駅までは鉄道が復旧している。石巻に着くとタクシーに乗り込み、「被災地へ行ってください」と伝える。石巻市では、3280人の死亡が確認され、なおも629人が行方不明なのだそうだ。50代半ばに見える運転手さんも、津波で家を流されて…

松島海岸・野蒜・石巻

震災で長い間不通になった、仙台−石巻間を結ぶJR仙石線に乗った。今も松島海岸駅から矢本駅まではJRバスでつないでいる。この区間の復旧の目途は立っていない。 ↑松島海岸松島海岸を歩くと、1歳児の陽向を連れた私たち夫婦に、遊覧船乗り場の日焼けした…

帰省

帰省をすると、いつも故郷の人たちが共同体や親戚縁者のためにつくしている姿を目の当たりにし、感服させられる。私たち夫婦にはそれができていないことは明らかで、私たちがしてもらっていることが彼らに対してしていることに比べて多いことに、少し負い目…