震災で長い間不通になった、仙台−石巻間を結ぶＪＲ仙石線に乗った。今も松島海岸駅から矢本駅まではＪＲバスでつないでいる。この区間の復旧の目途は立っていない。
↑松島海岸
松島海岸を歩くと、1歳児の陽向を連れた私たち夫婦に、遊覧船乗り場の日焼けしたおじいさんが話しかけてこられた。
震災の復興は、観光地である松島海岸周辺を優先的に進められたので、周辺に震災の痕は見られない。ボランティアがたくさん駆けつけて、ヘドロの除去をしてくれたそうだ。しかし、観光客は例年の半分もいないらしい。
おじいさんは陽向を見ながら笑顔で話しておられたのに、なぜか涙が頬を伝う。周囲が衰退していく状況下で、幼い命が輝いて見えたのかもしれない。「大事に育てて」という言葉を何度もいただく。
ＪＲバスに乗り込み、東松島市を通る。
野蒜地区に入ると、斜め前に座るおじさんのすすり泣きが聞こえ始めた。この土地に関係がある人なのだろうか。この小さな町で約２００人の方が亡くなられた、と聞く。
ほぼ全ての住宅の１階部分のサッシが失われている。バスから見える範囲では、人が住んでいる家はほとんどないようだ。
（つづく）
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