20歳の頃、アフリカの旅から帰ってたら、すぐにA型肝炎を発病した。
即刻、大学病院に入院。初日のベッドに、「アフリカからこの青年は何を持って帰ってきたのだろう?」と興味津々な顔をして、たくさんの医者がやってきた。やがて、ただのA型肝炎だということが分かって、誰も私の病気に興味を示してくれなくなった。良くも悪くも、大学病院だった。
肝炎は贅沢病といわれている。その理由は寝て動かないことが唯一の治療法だからだ。食事の制限もない。
そのうえ、自覚症状はほとんどない。
20歳の男には、これは一つの苦行である。診療のために移動するとき、看護婦さんが車椅子を押してくれる。たぶん、このまま1500m走れると思いながら、車椅子の上でじっとしている。
そんな日が40日も続く。
アフリカで同じ肝炎を発病し、アフリカで入院したYちゃん(女の子)から、「肝炎おめでとう!」と書いた手紙が届く。
おめでたい病気は、苦痛だ。