建築学科の学生のときは、設計のアイディアを練るときはよく机の周りをうろうろ歩きまわっていた。
アイディアとは、突然降ってくるようなものなので、降ってきやすい状況を自分でつくっているのだ。場所を移動することによって、五感に入ってくる刺激を変えて、何かの瞬間に外界との波長が合うことを期待しながら歩く。五感を集中させて。
運が良ければ、なにか興味を持てるものにぶちあたる。ぶちあたるまで、歩き続ける。一日中歩き続ける可能性だってあるが、大抵は30分以内になにかを見つけて、机に向かう。そして、結果が出なければ、また歩き始める。
今は歩くだけでなく、ネットを見たり、ニュースを読んだりすることもある。傍から見ると、単なる「なまけもの」である。実際、周囲にはそのように思われている節がある。まあ、100%誤解というわけでもないけれど。