gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

絵はいつ完成するのか

中学生の頃、毎週1回、油絵を習いに行っていた。

おじいちゃん先生に、パンやコップや花の静物画を描くように言われた。その日、3時間くらい描いたら、画面に白いところはなくなった。

先生が見に来られて、もっと塗るように、とおっしゃった。

次の週、色が薄いところを濃く塗り重ねた。正直、キャンバスが白く透けて見える様が気にいっていたので、ちょっと残念だった。

先生が見に来られて、もっと塗るように、とおっしゃった。

その次の週、筆が止まった。もう塗るべきところはないように思われた。パンやコップや花をじっと眺めてみたが、どこにも新しい色は見つからなかった。

先生が見に来られて、進んでないね、とおっしゃった。

しばらくして、私は通うのを止めた。絵はいつ完成するのか。自分で決めたかった。

先生には感謝している。絵は、自分で決めない限りはどこまでも終りがないことを教えてくれたからだ。

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