2002年、韓国。
美男美女の恋愛映画は、必ずしも画面の向こうにある美しさに触れる必要がない。
この映画は違う。
脳性麻痺で顔をゆがませて、腕が折り畳まれたような格好の女性と、貧乏ゆすりが癖の社会不適合者のあんちゃんとの恋愛映画である。
しかも2人の演技はリアルさを極めている。美しさは画面のずっと向こうに凛として存在させねばならない。この映画はそれに成功していると思う。
私を含めて明らかな障害をもたない人間たち(もちろん誰もが広い意味で障害を持っているが)の日常は、往々にしてそういう存在に対する想像力に欠けていて、それに対して無自覚であるがゆえに反省もせず、自分はまあまあよい人間に違いない、と思い込みつつ生きている。
たぶん、それが間違っているわけではない。不思議なことだが、誰にとってもほぼ等しく、自分やその家族が生きていく、というだけで精一杯なのだ。
あんちゃんの義姉が問題を次々に起こすあんちゃんに「悪いけど、私はあなたが大嫌いよ」と言う。その本音を誰にも責められないだろう。
目に見えるものの向こうにある美しさを見続けることは容易ではない。この映画では、主演の2人にとってだけは、その美しさがストレートに見え続けている。そんなエンディングだった。
幸せなのは、誰だろう?