毎週末、九十九里の海岸を5キロ走っていたことがあった。
砂浜の走りやすさは、月を見れば判断できることが、だんだん分かってきた。
満月や新月の日は、潮の満ち引きが大きい。引き潮の時間に走ると、砂は締まって固い。スムーズに走ることができる。
半月の日は、引き潮の時間でも、砂のすぐ下に海水が上がってきていて、一歩一歩が沈む。走りにくいことこの上ない。
近所のおばあさんが、孫のためにカニを獲るため、砂浜から網を仕掛けるのも、満月や新月の日だ。
九十九里の生活は、月とともにあった。
内陸に行くほど、人は月を見なくなる。