gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

バッファローに道をふさがれる

バッファローが3頭、私の前に立ちふさがった。ボルネオ島のジャングルの中。木々を通り抜けた日光が地面をキラキラさせている。細い獣道。私が先へ行くにはそこを通る以外にない。

3頭は家族なのだろう。子供が1頭いる。低木の葉を貪り食っている。父親が先頭に立って、私を警戒している。角がやけに大きく見える。

私は、彼の機嫌を取ろうと10メートルほど離れたところから、ニコニコ笑って手を振ってみせる。・・・反応はない。

どうやって、ここを通り抜けるか。世話になっているケラビット族の村はこの向こうにある。

このままここで夜を過ごすわけにはいかない。ジャングルにはコブラがいると村人が教えてくれた。

しばらくの間、考えた末に、私は歩き始めた。大きく手をふって、ガニ股で、のけぞって、そして、先頭にいる父親の目をキッとにらめつけて、決して逸らさずにずんずん進んでいった。勝負を挑むことに決めたのである。

父親の目は充血していた。スペインで観た闘牛のように、前脚をガッガッと地面に2度たたきつけた。興奮し、戦闘体制にあることを表現してきた。

ここで立ち止まるわけにはいかない。あとは彼が突進してくるか、退散するか、どちらかしかない。

父親の鼻の先まで1メートルを切ったくらいのところで、彼は踵を返した。それにしたがって、他の2頭も踵を返した。そして、スローモーションのように走り去った。


・・・村へ帰ってから、この様子を伝えようと興奮気味に下手な英語でまくしたてた。

全く通じなかった。