gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

破壊的性格

10年以上前に買ったベンヤミンの「暴力批判論」を久しぶりに手に取った。

その中の「破壊的性格」に10年以上前にやたらと書き込みをした跡があった。読んだことも忘れていたが、書き込みの中にこんなメモがあって、少し考え込んだ。

「創造−保存−破壊−空虚 のサイクル」

4つの段階は別々の人間がその役割を担うわけではない。例えば、私たちは空間をつくるという行為の中で、それぞれの段階をまとめて「つくる」と呼んでいるだろう。「つくる」とは「創造」だけでは成り立たない。

よって、私は破壊することもある。しかし、私は「破壊的性格」ではありえない。上記のサイクルを思い浮かべること自体が「破壊的性格」ではないということを表しているのだから。

「破壊的性格は、いかなるビジョンをもいだかない。欲望もあまりない。破壊したあとに何があらわれるかなど、破壊的性格にとっては、つまらぬことかもしれない。」

「破壊的性格は、自分が何よりもまず歴史的な人間だ、という意識をもっている。その根本衝動は、ものごとの進行にたいするやみがたい不信であり、つねに『何もかもだめになるかもしれない』と思って焦らない。破壊的性格とは、したがって、誠実ということである。」

「誠実ということである。」の後に、大きく「?」を書き込んでいた。10数年経って、変わったことがあるとすれば、その文章の意味が分かるようになった、ということである。

だが、「破壊すべきもの」は既に姿をくらましているだろう。私たちに「破壊的性格」に憧れている暇はもうない。