gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

春落葉

春落葉・・・という言葉を何となく最近美しく感じている。そういえば、10年以上も前に、千葉・鴨川の山奥に住むアーティスト・宮下昌也さんのお宅の周辺で拾い集めた楠の落葉を2枚の金網の間に挟んだ衝立をつくったっけ、と当時を思い出す。(写真は高坂敏夫さんが撮影)

春落葉は、常緑樹の落葉で、春から初夏にかけてはらはらと落ちる。秋の落葉と比べると、肉厚で、かたちが壊れにくい。したがって、このように空間づくりに生かしやすい素材である。

しかし、失われるものの美に心魅かれる日本人の感性は、色づいて数日で姿を消してしまう秋落葉をより好むのだろう。春落葉は、その存在すらあまり一般的に知られていないようだ。

かくいう私も、春落葉の存在を宮下さんに教えていただいた。厳しい冬を耐え、春に落ちて、若い葉と入れ替わるその存り方が、今、単純に美しいと思う。