西側の障子窓に林を抜けてきた光が揺れる。
このような姿は、遠い昔から日本人が日常的に眺めてきたものだろう。
しばし、言葉を忘れる。
障子のスクリーンは、その向こうにあるものを映し出し、見る者の想像力をかきたてる。
外界と紙一枚で隔てられている中に身をゆだねることは、外界への信頼なしにはありえないであろうし、なおかつ、危険を察知する自身の感性への信頼なしにもありえないであろう。
恐怖に支配された今の社会に生きる身としては、そのように存在する人間に対して憧れを禁じえない。少し前までの日本人って、単純に、かっこいい、と思わないか。