gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2012.5

子供

陽向は2歳3カ月。まだ、言葉も少ししかしゃべらず、何を手伝ってくれるわけでもない。しかし、何ができるか、ということのずっと向こうに、存在し、一緒に生きていることが与えてくれる力を認めざるを得ない。「子育て」というが、一緒に寝て、食べて、遊…

変身

老若男女、誰もが入りやすい空間。そのキーワードの一つに、「変身」があると思う。 ディズニーランドは、もっとも分かりやすい例だろう。アトラクションごとにジャングルに入ったり、宇宙へ飛んだり、場の設定が急激に変わることによって、自分と社会との関…

引き算のデザイン

星空の星を一個ずつ数えていっても、永遠にすべての星の数にたどり着けないように、足し算でデザインしても、決して無限にはたどり着けない。引き算でデザインする、という言葉をよく耳にする。それが一般的にどのようなデザインの手法を表すのか、私は知ら…

食堂にて

近くのテーブルで大声で笑いあっている人たちがいる。大きな声だから、会話の内容が自然に耳に入ってくる。が、私には笑えない。他のテーブルの人たちにも聞こえているだろうが、誰も笑ってはいない。大声で笑っているのはその人たちだけだ。・・・そう、ごく一…

映画 紅の豚

1992年、宮崎駿監督。グリッドフレームのクライアントには、この作品が好きだ、という方が多い。理由は、飛行機づくりの工場で、大勢の女たちが家内制手工業的にせっせと働く様にわくわくする、ということがひとつだろう。グリッドフレームの仕事風景に…

希少価値

近所のTSUTAYAの会員になった。DVD1本100円で借りられる。よほどマイナーな作品でない限りは、映画は観たいときに簡単に観れる時代になって久しい。しかし、人間には手に入れることが困難なものに惹かれるところがある。いろんなものが簡単に…

The water is wide

誰かの歌声が耳に残って、ずっと鳴り続けている。ここ10年くらい、その歌を探していた。はなうたをうたって、ロックバーで訊ねたこともある。先日、ようやく見つかった。ここまで長く探していると、見つかるときは予感があるらしい。この音楽が流れる直前…

ワイヤレス

ワイヤレスのヘッドホンを使い始めた。陽向が寝た後など、自由に動き回りながら音楽を聴けるのはとても便利である。空間の仕事をしていると、多くの配線は一つの大きな課題である。現在、音の伝達に関してはワイヤレスが可能になったが、その他、照明配線の…

ロシア・フォルマリズム

日常的に見慣れた事物を奇異なものとして非日常化・異化するための方法が探究の主題。1910年代〜30年代のロシアの文学運動。あらゆるものを素材として見ることを創造の原点とするグリッドフレームのコンセプトは、ほとんどロシア・フォルマリズムを説…

金環日食

日食とは、月の反対側に太陽があるのだから、新月の日にしか起こらない。私たちは通常、新月を見ることができない。だから、月が空のどこにあるかを知らない。昨日の金環日食で、私たちは新月の姿をはっきりと捉えることができた。日食とは、0%の完全な新…

Skype面接

スタッフ募集の面接を初めてSkypeでやってみた。応募者が海外在住だったからだ。会社の面接ではあるが、場所にこだわる必要はない。自分も自宅、相手も当然自宅である。双方がリラックスした環境で話ができるのは悪くない。相手もリクルートスーツなど着てい…

6:00am

先週、一念発起して夜型の生活を朝型に変更した。今までも幾度かトライしたが、いつの間にか元に戻ってしまっていた。朝6時の乃木坂。揺らぎのないシンプルな太陽の光が美しい。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

交通

ある地方でえられた生産諸力、ことに諸発明が、以後の発展に影響をおよぼすかどうかは、もっぱら交通の拡大いかんによる。直接の近隣を越えうる交通が、まだまったく存在しないかぎり、どの発明も地方ごとになされねばならない。そして蛮族の侵入のような通…

映画 ミラーズ・クロッシング

1990年、コーエン兄弟監督。いくつかコーエン兄弟の映画を続けて観たが、浮かび上がってきた共通点は、主人公は「真実」というものにはこだわらない、ということだ。それぞれの人間の解釈によって、真実はねじ曲げられる。主人公は、自分に対するものも…

ユリノキの並木

かつてはイチョウ並木の下を通っていたが、今はユリノキの並木の下を毎日通っている。高さ20m以上の美しい並木だ。現在、黄緑色とオレンジ色の目立たない花をたくさん咲かせている。控え目な花だからこそ、見つけるとうれしくなる。そんな存在の美しさも…

今年も関園子さんの写真の展示があった。私は毎回それを楽しみにしている。関さんは風景の意味を一旦剥ぎ取り、素材として見て、そこに新しい関係性を発見する、という手法で写真を撮られていて、私にとって共感するところが大きい。http://d.hatena.ne.jp/y…

翻訳

近頃、英語のページについては、日本語に自動翻訳してくれる設定をしてしまったようで、英語のままで表示してほしいときも日本語が出てくる。例えば、youtubeのお気に入りにビリー・ジョエルの「She's always a woman」を登録しているが、「彼女はいつも女で…

素材

あらゆるものを素材として見る。それが、グリッドフレームの空間づくりの基本方針だ。あるものを素材として見る、ということは、それに与えられた意味を剥ぎ取って見つめる、ということだ。そうすることによって、あらゆるものは無限に意味を変容する可能体…

自由が丘

久しぶりに自由が丘の駅を降りた。これまで自由が丘はグリッドフレームにあまり縁のない町だった。それは、私たちが持つどこかラディカルな雰囲気がこの町にそぐわないと思われたからではないか、と思う。自由が丘という名前とは裏腹に、自由な気風に欠けて…

映画 バーバー

2001年、コーエン兄弟監督。主人公は無口な床屋。繰り返し流れるベートーベンのピアノソナタ「悲愴」が主役といってもよいかもしれない。映画を観終わった後、いい演奏を聴いた後のような気持ちになった。主人公は、脅迫状を出して金を手にし、正当防衛…

幻想

良いことがあれば、それがずっと続くのではないか、という幻想を抱く。それが人間の常である。だが、ずっと続くものはほとんどない。幻想は崩壊し、その原因が人為であれば人は怒りを感じ、その原因が自然であれば、悲しみを抱く。ということは、そもそも良…

にらめっこ

まだ言葉を話さない陽向と二人で、外で妻を待っているときなど、周囲におもちゃがなくて退屈しのぎの必要があるときは、ふたりでにらめっこをする。といっても、陽向はまだ意図的に面白い顔をつくることができないので(意図的でなければ、結構面白い顔をす…

テールライト

トンネルのタイル壁に車のテールライトの赤が映り込んで美しい。渋滞のときの数少ない愉しみのひとつだ。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

体重計

目盛りは33キロを指していた。小学校4年生の私は柔道一直線の真っ最中だった。ある日、柔道のおじいちゃん先生がやせ型の私を見て、両親に対して「ちぃーとでよかけん、肉を食わせてもらえんでしょうか」とお願いされたそうで、苦笑いした両親はせっせと…

GFスタッフ009

福井県から家具職人を目指して、上京してきた一級建築士・・・えっ?その計算のない人柄は、いつも真っ白なキャンバスのようで、良くも悪くも時折「ピカピカの一年生」的な印象を醸し出すが、実は周囲の彼に対する信頼感はとても大きい。 ← グリッドフレームのH…

ゴールデンウィーク

ゴールデンウィークの最終日が終わろうとしている。テレビのない生活をしている私たちにとっては、情報によって盛り上げられることもなく淡々と、陽向の保育園の休みに合わせて、陽向と愉しく時を過ごした1週間だった。このいかなる日も「淡々と過ごす」と…

スワンボート

陽向を連れて、上野の不忍池でスワンボートに乗った。安全のため、ボートのまん中に乗せると目の前にはハンドル。ハンドルを握って大喜びの陽向は、私がハンドルを触ろうとすると、容赦なく噛みついてくる、凶暴な船長となった。しかし、ハンドルを動かし続…

継続

私は、理路整然と物事を進めていくのが不得意だが、結果から遡ってストーリーをでっち上げることが得意なのだろうか、と思うことがある。あるいは、言葉にならないいくつかの理由によって、物事を進めているのかもしれない、と思うこともある。いずれにせよ…

透明人間

よく一人で旅に出かけては、旅先で誰にも興味を持たれず、一日中誰とも会話をしないことがあった。そんなときは、まるで自分が透明人間になったような気持ちになった。何がうれしくて、私はわざわざここにいるのか?自問する日々。そして、それが一週間も続…

映画 パリ、ジュテーム

パリへは行ったことがない。フランスに1週間滞在しながら、ピレネー山脈の村を離れなかった。そのとき修士論文を書いていて、その方が集中できると考えたからだ。パリが舞台となった映画は数知れないが、この映画はパリが舞台の18本の短編でできている。パリ…