今年も関園子さんの写真の展示があった。私は毎回それを楽しみにしている。
関さんは風景の意味を一旦剥ぎ取り、素材として見て、そこに新しい関係性を発見する、という手法で写真を撮られていて、私にとって共感するところが大きい。
http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20110517
今回、展示を見せていただいたとき、他のお客さんが関さんの写真には空の面積が多いことを指摘されていた。
その理由を考えてみた。
関さんは、日常目にしているけれども、見たことに気づいていないものに目を向けるのだから、自然と視界は上を向くだろう。例えば、ビルの上に見えているものを私たちはなんだか良く分からないままに過ごしているからだ。だから、空を背景とする写真が多くなる。
けれど、おそらくもっと深い理由があるだろう。関さんの写真は空というキャンバスに描かれた絵なのだ。空をキャンバスとして世界を見たとき、人が機能のためにつくったかたちが本然の姿を現したのである。
見えているのに目を向けられないあらゆるものの向こうには、空が無限に広がっていることを示されることにより、私はあたたかい気持ちになる。