1992年、宮崎駿監督。
グリッドフレームのクライアントには、この作品が好きだ、という方が多い。理由は、飛行機づくりの工場で、大勢の女たちが家内制手工業的にせっせと働く様にわくわくする、ということがひとつだろう。グリッドフレームの仕事風景にこのシーンを重ね合わせてくださっていると思われる。
彼女たちはつくることに誇りを持ち、そして愉しんでいる。宮崎駿自身がこの映画を「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のためのマンガ映画」と書いているらしいが、疲れた人間にはこのようなシンプルな情熱によって魅力あるものをハンドメイドでつくる現場が輝いて見える、ということだろう。
大恐慌時代のイタリアが舞台となっているから、国家は第二次世界大戦へ向かう暗い時代背景である。にもかかわらず、この映画が輝きを放って見えるのは、時代はどうあれ、最終的には個人の気高い精神が現実をつくっていくことを表しているからだ。
つくる人間として生きる私たちにも元気をくれる映画だ。