星空の星を一個ずつ数えていっても、永遠にすべての星の数にたどり着けないように、足し算でデザインしても、決して無限にはたどり着けない。
引き算でデザインする、という言葉をよく耳にする。それが一般的にどのようなデザインの手法を表すのか、私は知らない。だが、私なりの定義でいえば、引き算のデザインとは「無限から始める」ことである。
自然の中にあるものは、人間からまだ意味を賦与されていない。だからこそ、人がそれに向かうとき、無限に意味を投影することができる。
無限は、自然の中にあるものだけに認められるわけではない。
汚しうる美とは、ものに自然が作用することによって、混沌=無限性を獲得したものに認められる美しさをいう。だから、人はそれに向かうとき、人それぞれの意味を投影することができる。
そのような素材を、そのまま空間の中に存在させることを考えるとき、固定方法や他の素材との組み合せによって、無限から引き算していくが、無限からいくら引いても無限は無限のままである。
この手法をつきつめていけば、誰にとっても入りやすい空間ができる、と信じている。